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小野伸二が語る“運命を変えた一戦”。
「プロサッカー人生でピークは……」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byYoichi Nagano
posted2016/05/12 07:00
2014年から北海道コンサドーレ札幌に所属している小野伸二。天才少年と呼ばれた男はいま36歳になった。
「またもっとうまくなっていきたい」
北海道コンサドーレ札幌での3シーズン目、けがの影響で出遅れたが、小野は練習場に元気な姿を見せていた。
ボールを使った練習になると、より「小野伸二らしさ」が輝きはじめる。
練習場を借りてポートレイトを撮影しながら、リフティングをやってほしいとカメラマンが頼むと、ニコニコしながらボールを宙に蹴りはじめた。ボールは小野の分身のように、足、膝、頭、肩を跳ねまわる。
「一生リフティングだけやってるだけでいいと言われたら、オレ、もっとうまくなりますよ」
――今でもまだ、フィリピン戦の前の感じには戻れないですか?
「もう、あまり考えないようにしてますね。べつにもう、どうだったっけなって。ただ、いつがピークだと聞かれれば『あのときだ』って、今でも言えるぐらいだけど……」
──じゃあ、そこももう目指してない?
「そうですね。今はまた新たに『うまくなりたい、またもっとうまくなっていきたい』というのは感じますね」
天才少年も36歳になった。
久々に間近で見る小野伸二の顔には、うっすらと髭が生えていたが、少し白いものが混じっているようだった。それでも、ボールとたわむれる姿は、変わらぬ少年のようだった。
ニッポンの至宝がどのような足跡をたどったか。本人へのロングインタビューと関係者によって明かされる、知られざる小野伸二とは。12ページにおよぶノンフィクション、「小野伸二 36歳のサッカー少年」は、NumberPLUS「スポーツノンフィクション2016 運命を変えた一戦。」に収録されています。