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筋肉の性質で見る競技別ピーク年齢。
体操、フィギュア、マラソン……。 

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増田晶文

増田晶文Masafumi Masuda

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posted2016/05/08 09:00

筋肉の性質で見る競技別ピーク年齢。体操、フィギュア、マラソン……。<Number Web> photograph by AFLO

2015年の世界体操で活躍し、NHK杯でも2位に入り五輪に内定した村上茉愛。

マラソンなど持久系では30代が強い!

 マラソンやトライアスロン、クロスカントリースキーといった、筋持続力を発揮する競技に目を移すと、こちらは10代よりも20代やアラサーの選手に分がある。

 リオ五輪マラソン代表の石川末広は36歳11カ月で本番を迎え、北島寿典が31歳、佐々木悟も30歳にして代表となった。女子だと福士加代子は33歳で初のマラソン代表に。伊藤舞が31歳、田中智美は28歳だ。

 長距離を走り抜くための筋持久力は、筋疲労に耐えながら運動を継続させる力で、実は10代にピークがくる。ところが、オリンピックに少年少女のマラソン覇者はいない。

 長距離系の競技では、心肺機能の向上が筋力とあいまって肝要となり、こちらは20代で頂点に達する。距離系競技でドーピングが行われる場合、筋肉増強よりも心肺機能のパワーアップが目的の血液ドーピングが主流というのは、そういった事情があるから。

 さらに、試合という極限状況下では経験の多寡が、ペース配分やレースメイキングに大きな影響を与えることを忘れてはいけない。マインドのタフネス、判断力、認知力などの精神機能は、40歳あたりでひとつの山をつくり、なんと60歳頃まで発達を続けるという。これらの種目において筋力の優越はもちろん、心肺機能や精神能力を侮るわけにはいかない。

格闘技でも、30代の活躍は珍しくない。

 格闘技は最大筋力と筋瞬発力で優劣が決まると思われがちだが、試合時間をフルに戦いきる力、決勝までの試合数をこなす筋持久力もしっかり鍛えておく必要がある。したがって20代半ばがピークといえそうだが、レスリングの場合は30代選手の活躍だって珍しくない。

 アマレスのグレコローマン最重量級で13年間無敗だったアレクサンドル・カレリンは、29歳になる年に五輪3連覇を果たし、満33歳になったシドニー大会で銀メダルに輝いた。

 女子では吉田沙保里が今年で34歳、同じく伊調馨は32歳。彼女たちはカレリンを凌ぐ五輪連覇記録を目指しリオに挑む。

【次ページ】 最大筋力を競うパワー系は40代でも伸びる!?

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