サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
キャプテン岡崎慎司の舞台裏に迫る。
実はハリルはエンターテイナー気質!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/04/01 10:30
槙野智章にミーティングの司会を任せたりと、ハリルホジッチは実はチームの雰囲気作りに心を砕いている監督なのだ。
ハリルが岡崎のために用意した秘密のセレモニー。
そして長谷部の想像通り、岡崎は試合前から心の準備をしていた。
「『ごほうびだ』と言われても、やっぱりキャプテンなので。引っ張っていってほしいという想いは監督の中にあったと思います。(長谷部不在でキャプテンマークを巻いた昨年11月の)カンボジア戦ではなかなか引き締まらなかった部分もあったし、納得いく勝ち方でもなかった。僕には、リベンジしなければという想いもありました」
シリアに5-0で大勝したあと、岡崎はゴールを決められなかった悔しさを何度も口にしていた。それでも、「キャプテンとして、一番多く試合に出ている身として、若いチームを引っ張れなかった」と話していたカンボジア戦の試合の後とは少し違った感想をもらした。
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「そういう(キャプテンマークを巻く者の責任を果たすという)意味でも、この試合の内容は悪くなかったし、良い勝利で終われたので良かったと思います」
一方の長谷部は、試合後にキャプテンマークを巻かないでプレーした感想を求められると、笑顔を浮かべた。味わったのは寂しさでも、喜びでもなかった。
「いやぁ、新鮮で(笑) 新鮮な気がしましたね。入場するときも何人目に出て行ったらいいんだろう、みたいなことを考えたりもしましたけどね(笑)」
もっとも、ハリルホジッチが用意したのはキャプテンマークだけではなかった。
シリアに勝った場合のみ行なうという条件付きで岡崎の100試合出場をたたえる記念セレモニーを用意していたのだ。
「こんなのあるのかー、マジで!?」
試合後にマイクを用意されたのを見て、そうもらした岡崎にとって、スピーチをするのは想定外だったようだ。
就任したばかりの田嶋会長に花をもたせる気遣い。
そして指揮官は岡崎のセレモニーの陰で、もう1人のための晴れ舞台も用意していた。背番号のところに「100」とプリントされたユニフォームをかかげて岡崎とともに写真に収まったのは、監督だけではない。
試合の2日前に行われた評議員会と理事会で承認され、正式に日本サッカー協会の会長となった田嶋幸三も一緒にカメラの前に立った。
セレモニーで岡崎と並ぶことで、スタジアムに訪れた人はもちろん、お茶の間の人たちも、はっきりと認識したはずだ。新たに日本サッカー協会を引っ張っていくのが、誰なのかを。
数十秒のニュースよりも、岡崎の隣で笑顔を見せる写真のインパクトは大きい。代表チームのボスはハリルホジッチである。だが、ハリルホジッチのボスは田嶋会長だ。
このセレモニーには、岡崎や会長へのリスペクトと、チームマネージメントにおける狡猾さにも似た巧みさも感じずにはいられなかった。