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今宮健太、オープン戦は打撃不調も、
フォーム改造と肉体強化で期待大!
posted2016/03/25 08:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
NIKKAN SPORTS
今年、今宮健太はこれまでにない感覚でバットを振っている。
「ボクはこれまで、打撃フォームは他の人のやり方を見て『じゃ、自分もこれで行ってみよう』という感じで、ただやっていただけでした。だから打てなくて困っても、どうすることもできませんでした。だけど、去年の後半あたりに『コレ』というものを見つけました」
今宮の発見は、ツイスト打法だ。
もともと上半身が強く、小柄で細身ながらも腕っぷしに頼りがちだった。その打ち方ではハマれば快音を響かせるが、簡単に崩されてしまう脆さがあった。
ツイスト打法は、打つ瞬間に腕を回す方向と腰を逆回転させる高度な打ち方だ。下半身という土台が安定していなければできないし、バットを自分の力で振りにいくというよりは自然とバットのヘッドを走らせるという表現の方が正しい。
「練習でも感じがいいし、これでいけるんじゃないかなと思っています。井端(弘和=元中日、巨人)さんのような、嫌らしい右バッターを目指しています」
確かに、右方向への打球には昨年までにない鋭さと力強さが感じられるようになった。
不動のショート、しかし打撃は苦戦。
まだ24歳。その若さで常勝ホークスの不動のショートという立場を確立し、昨季まで3年連続でゴールデングラブ賞を獲得した。球界きっての名手として十分な輝きを放っている。
一方で打撃では毎年のように苦戦を強いられている。初めて規定打席に到達した'13年は打率.253を残したが、'14年は.240、'15年は.228と下がる一方だ。昨季はパ・リーグの規定打席到達者の中で下から2番目の有様だった。
「今年でプロ7年目になりますが、プロ入団時に思い描いた自分の将来像とはほど遠いです。もっとチームの中心選手として活躍して、もっともっと打てると考えていました」
強打者、今宮――。
明豊高校から入団したすぐの頃は、そんなイメージを抱いたファンも多いはずだ。