猛牛のささやきBACK NUMBER
豪快なスイングと、細やかな分析力。
オリ・吉田正尚の魅力的な「二面性」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/25 10:30
小さい体を目一杯に使ったフルスイングは観る者に夢を見せる要素に溢れている。
段階を踏むつもりが、「最終的には“来た”」。
オープン戦最終日、吉田にとって一軍3日目の3月21日には、左投手から2安打を放ち、「右でも左でも関係ないですね」と福良監督に言わしめた。
ということは、落とす理由が見当たらない? という問いに、指揮官は「ですね」と笑った。
フルスイングでつかみとった、急転直下の開幕一軍。
「最初、2試合だけと聞いていたので……」と吉田自身、戸惑いを隠せなかった。
「一気に、階段をとばしてきた感じですよね。正直まだ1カ月ぐらいはかかるんじゃないかと思っていた。試合勘ももちろん慣れていないし。キャンプから一軍スタートで、段階を踏んで、という自分の最初の計画とは違ったけど、最終的には“来た”みたいな感じですね」
それでも西武の開幕投手、菊池雄星の話題になると、「左で150キロを越えてきたら、簡単には打てないですよね」と言いながら、不敵に笑った。
まだベンチの中ではどこか所在なさげで、試合勘も戻っていないと言いながら、3日間で本塁打を含む4安打。
このルーキーがプロの水に慣れた頃には、どんな爆発力を見せてくれるのか、末恐ろしい。