フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
五輪金メダリストがトランプ氏を語る。
米国大統領選とスケートの奇妙な縁。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2016/03/23 12:10
「ウォールマンリンク」で開催されたチャリティ・イベントでのトランプ氏。スケーターではサラ・ヒューズ、チャーリー・ホワイト、ジョニー・ウイアー、ドロシー・ハミルらが出席した。
五輪金メダリストが顔を揃えた改装オープニング式典。
「ドナルドは、アヤと私にリンク改装のオープニング式典のプロデュースを依頼してきました」とバトン氏。
1986年10月31日に式典は行われ、バトン氏とザーノワのほかにペギー・フレミング、ドロシー・ハミル、スコット・ハミルトンといった米国出身の五輪チャンピオンたちの豪華メンバーが顔を揃えた。
「ドナルドは、ペギー・フレミングとドロシー・ハミルの大ファンでした」とバトン氏は証言するが、それ以外に彼がスケートに特に興味があったわけではないらしい。
だがこの「ウォールマンリンク」の一件が、彼が単なる不動産デベロッパーから、著名人へと格上げされた理由の1つになったことは間違いないだろう。
「国家運営はビジネス」とバトン氏。
ところでバトン氏自身は、トランプの大統領立候補をどう見ているのだろう。
そう質問すると、「え?」「何だって?」「そっちの耳は遠くてねえ(笑)」と、ジョークを飛ばしたあと、バトン氏は真面目な顔になってこうコメントした。
「認めようが認めまいが、アメリカ合衆国の政府を運営していくのは、ビジネスの一種。この国最大のビジネスなのです。そして株主は国民たち。彼ならビジネスマンとして、手際よくこなしていくでしょう」
だが彼のあの過激で矛盾の多い発言のため、同じ共和党の中でも彼を大統領候補に指名することを躊躇する声も多い。
そのあたりは、どうなのか。
「ドナルドは攻撃的で、猪突猛進タイプの人間。時には暴力的な発言もする。でも私が見る限り、彼が口にしているような問題を提起した候補者は他にいない。私が彼に求めるのは、彼が自分の企業を宣伝していったのと同じ手際で、この国を運営していってもらいたい、ということです」