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「世界選手権は勝ちに行くつもり」三浦佳生18歳が語る“幼馴染みのライバル”鍵山優真・佐藤駿との関係「僕ら3人ってポケモン御三家みたいで…」
posted2024/03/21 11:01
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto
昨年の全日本選手権(12月20〜24日)、最終日。長野駅近くの焼肉屋で、国際大会派遣選手の発表を、「今か、今か」と待つ3人の男子がいた。三浦佳生(18)、鍵山優真(20)、佐藤駿(20)の3人だ。小学生のころから、同世代として大会の表彰台を争ってきたライバルであり、幼馴染みである。
一昨年までの発表は、選手たちを会議室に集めて、日本スケート連盟から口頭で伝えるスタイルだった。しかし、この大会では、会議で決まり次第、日本スケート連盟の公式X(旧ツイッター)に掲載されることになっていた。
僕は「世界選手権、行けるかなあ」って
三浦は自分の今季前半の戦いを振り返っていた。
「GP初戦のスケートカナダは良い演技が出来なくて2位。フィンランド杯は駿君がいてくれて、あまり緊張することもなく試合に臨めて、優勝できました。GPファイナルは優真が一緒で。でも体調面では苦しんで(5位となり)、その経験は全日本選手権に生かされたと思います」
世界選手権の派遣は「3枠」。GPファイナルに進出したことは、選考条件で有利な要素だったが、全日本選手権は4位。確定とは言えない状況だった。
一方の鍵山は、GPファイナルで銅メダル、全日本選手権で2位。佐藤は、GPシリーズでは表彰台に乗ったが、全日本選手権は5位だった。
「優真は、世界選手権に99%確定だったんですが、僕は『世界選手権、行けるかなあ』って。駿は『僕は四大陸選手権、あるかな』って。ずっとツイッターをスワイプして更新しながら、待ってました」
午後11時すぎ、世界選手権の代表に「宇野昌磨、鍵山、三浦」が、四大陸選手権の代表に「鍵山、佐藤、山本草太」が決定。ツイッターを見て「ああよかったー!」と叫ぶと、3人は、固い握手を交わした。
「もうご飯食べ終わってましたから。乾杯じゃなくって、握手しました」
誰か1人が選考で漏れたら気を使わないのだろうかと心配になるが、三浦は笑って答える。
「常に一緒にいるので、そういう感じではなくて。僕と駿は喉を通らないって感じだったけど、なんだかんだ3人で一緒にいるなって感じがします」
長いスケート人生、誰かが苦しむ時もあれば、笑う時もある。まさに苦楽をともにしてきた仲間なのだ。
夢舞台への切符を手に、長野を後にした三浦は、年明けからさっそく、3種類目の4回転ジャンプに着手した。
「今は、4回転フリップを多めに、4回転ループもちょっと練習しています」
4回転ループを封印した理由とは…
実は、鍵山と三浦は、すでに“3種類目の4回転”として、ループを成功させたことがある。しかし今季、2人とも4回転ループを封印し、4回転フリップの練習に着手した。その理由をこう語る。