セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本田圭佑のポーカーフェイスは続く。
客席の「Vai,Honda!」にどう応える。
posted2016/03/22 11:10
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
ミランはまたも勝ち切れず、本田圭佑のポーカーフェイスは続く。
前節までのアウェー2連戦で、地方クラブ相手に勝ち点1で終わったミランにとって、日曜の30節ラツィオ戦は仕切り直しの一戦だった。
本田が惜しいクロスを放ち、終盤には数的有利の状況も得た。しかし、ミランはチャンスを活かすことなく、1-1のドローに終わった。
ここ3試合で取れたのはわずか1得点、ミランのミハイロビッチ監督は試合後に呻いた。
「どうやっても点が取れない」
ミランのゴール欠乏症は深刻だ。
4-3-3導入はお蔵入りになったらしい。サンシーロにラツィオを迎え撃ったミランは、これまで通り4-4-2の先発布陣を組んだ。
エースFWバッカと2トップを組ませる適任者不在に悩まされていたミハイロビッチは、一時本田とMFボナベントゥーラを左右のウイングに上げる3トップを打開策にしようとしたが、運動量と献身性を持つL・アドリアーノのコンディションが上向きとなったことで、冬に結果を残してきたクラシカルな布陣を据え置いた。
先制点を決められても、怒りも焦りもない。
ただし、先制したのはラツィオだった。
ELで敗退し意気消沈しているはず、と思いきや、ラツィオのイタリア代表コンビ、MFパローロとMFカンドレーバが序盤からミラン守備陣を翻弄。9分にカンドレーバが蹴った左CKを、マークを外したパローロにへディングで合わせられ、ミランは序盤からリードを許してしまった。
ミランの10番は、怒るでも焦るでもなく、試合再開に備えて淡々とハーフウェーラインへ戻っていった。“すぐに切り替えるぞ”と、その背中が語っていた。
そして、本田が起点となって、ミランは同点に追いつく。
中央へ斬りこむ本田は、鋭いクサビのパスを打ち込む。L・アドリアーノを経由したボールは、FWバッカがゴール左隅に低く突き刺した。先発に返り咲いたブラジル人FWのポストプレーを上手く引き出した、本田の巧妙な一手だった。