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盤石のバルサとレアルの狂騒。
~4月2日クラシコで雌雄を決す!~
posted2016/03/19 11:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Mutsu Kawamori
何かにつけて比較されるバルセロナとレアル・マドリーだが、両者がこれほど対照的な道を歩んだ年も珍しい。
分岐点となったのは昨年11月、バルサが1位、マドリーが2位で迎えた第12節のクラシコだ。
今季こそリーガ王座に返り咲きたいマドリーは昨年の夏、シーズンカレンダーが発表されると、専門家を雇ってシミュレーションを行った。補強の進展具合を考慮しながら各チームの戦力を数値化し、前季の星取り表と照らし合わせて獲得ポイントの伸びを予想したのだ。
その結果、バルサとの直接対決がカギを握ることがわかった。
優勝するにはこの戦いを終えた後、2位にある程度の差をつけて首位に立っていなければならない。そうでない場合、試合日程からしてリーガ制覇の可能性は極めて小さくなる。
ところが、サンティアゴ・ベルナベウが舞台であったにも拘わらず、マドリーは0-4で完敗した。順位はアトレティコに抜かれて3位。バルサには11月下旬にして6ポイントもの差をつけられてしまった。
こうなると直ちに監督交代が取り沙汰されるのがスペインだ。
一方のバルサはクラブW杯も制し世界王者へ。
フロレンティーノ・ペレス会長も自ら選んだ指揮官ではなくシミュレーションの託宣を信じ、目標をCLに切り換え、ベニテスの後任探しを始めた。
そして12月半ば、チームが第15節のビジャレアル戦を1-0で落とすと、ベニテス解任を決意した。意にそぐわない監督の首は躊躇なく飛ばす彼だが、シーズン中に鉈を振るうのは'08年のシュスター以来である。
ちなみにクラシコ大勝で波に乗ったバルサは、この頃クラブワールドカップをも制し、3度目の世界王者となっている。
年が明け、最初のバレンシア戦を引き分けると、マドリーは監督交代を発表した。