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岩隈久志が練習で貫く「目的意識」。
慎重に、繊細に積み上げる微調整。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2016/03/01 10:30
アリゾナ州のピオリアでスプリングトレーニングに入っている岩隈。
岩隈の最大の長所は「適応能力」だと思う。
「腕が振れていたので、どうしても腕を振りたくなるから上体も突っ込んでいるなと感じてました。次回はそういうのをうまく下半身でリードしていきながらとか、リリースのタイミングを合わせていければいい」
スポーツカーの慣らし運転、というのはそういう慎重な部分だ。
「投げる角度的に低いなっていうのがあったので、もうちょっと高い位置から、下半身の切り返しとか脚の感覚を意識してやっていた」
投手・岩隈の最大の長所は、「適応能力」ではないかと思う。
長いシーズン中、いつでも最高のコンディションを保てるとは限らない。良い時は良い時のピッチング。悪い時はそれなりのピッチングをして、チームに勝利のチャンスを残しながらマウンドを降りることが大事だ。そういうことを積み重ねて、岩隈はメジャー2年目の2013年、33試合に先発して219。2イニングに登板することが出来た。調子が悪くても何とか平均点以上に持って行き、ゲームの流れに適応してしまう能力。そこに彼の真骨頂がある。
青木宣親、李大浩がチームメイトに。
さらに今季の岩隈には、強い味方が何人もいる。
青木宣親外野手と李大浩一塁手のアジア人2人、そして広島からドジャースに移籍した前田健太だ。
青木とはロッカーが向かい合わせになっており、青木自身が「なんか変な感じ」というほど距離感は近い。練習前には談笑していることも多く、岩隈の表情もかつてないほど、リラックスしているように見える。
「ノリと一緒に出来ることはすごく楽しみ。後ろで守ってくれるのは心強いし、テンポよく投げて、チームに勝ちがつけられるような投球を心掛けていきたい」
李については「凄くデカいですけど、柔らかい打ち方をする。いい選手だと思う」と期待する。
「日本でも結果を残してここに挑戦しに来てると思うんで、一緒にメジャーでやれればいいし、楽しみです。同じアジア人として通じるものがあるし、シーズンを通じて一緒に出来るのが一番いい」