セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
欧州で最も守備が堅いのはユーベ?
ブッフォンも脱帽するDF陣の大奮闘。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/02/25 10:30
抜ければ1点のクロスをはじき出したボヌッチ。生粋のユベンティーノである。
DFの奮闘ぶりに、守備機会が少ないブッフォンも脱帽。
痩せても枯れても、イタリアは守備の国だ。カンピオナートを左右するようなDFのプレーは正当な評価を受ける。
激しい肉弾戦を厭わないボヌッチは、ナポリ戦で右膝を打撲し途中交代を余儀なくされた。一人また一人倒れながら、王者の砦を守るユーベの番人たちはゴールを絶対に割らせない。苦境の中でこそ、ユーベの守備陣たちの凄みは際立つ。
「ベテランのバルザーリを初め、DFたちの奮闘ぶりには脱帽するしかない。俺がほとんどプレーできない試合があっても構わないよ」
守護神ブッフォンにとって、相手のあらゆる得点機を跳ね返し続けてくれるDFたちは、これ以上なく頼もしい存在だろう。フロジノーネ戦のように守備機会ゼロ、雨の中でじっと戦況を見続けているだけの90分間が度々あるとしてもだ。
ただ、満身創痍で完封試合を続けるDFたちには、このままシーズンの最終盤まで心身のコンディションがもつのか、という不安がつきまとう。
連勝記録も26節で止まった。
格下のボローニャ相手にスコアレスドローはスクデットレースの上でかなり痛いはずだが、試合後の指揮官アッレグリは何食わぬ顔で先を見据える発言をした。
「CLのバイエルン戦に心が向いていたということはない。ここ数カ月の猛追撃で、我々はかなりのエネルギーを費やした。ここで勝っていれば、という思いはあるが重要なのは失点しなかったことだ。ナポリとは最後の最後までタイトルを争うことになるだろう」
最多得点チームの優勝か、最少失点チームの優勝か。
今季のスクデットレースは、いよいよナポリとの一騎打ちの色が濃くなってきた。
「優勝予想? 不可能だよ」
ナポリとユーベ双方を率いた名将リッピですら、タイトルレースの行方を読みあぐねる。
「開幕当初は躓いたが、ユーベは必ず上がってくると思っていた。ただし、ナポリも決してイグアイン頼みのチームではない。(25節の)直接対決ですら大勢を決するゲームにはなりえなかった。どう転がるか、まだわからんよ」
最後に勝つのは矛か盾か。
1929年から全国統一リーグとなったセリエAの歴史上、最多得点チームがスクデットを獲った年は41回、最少失点チームが優勝した年は40回ある(最多得点/最少失点ともに記録した17例含む)。
ユーベとナポリが火花散らすマッチレースはこれからが本番だ。残り12節、目が離せそうもない。