マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
姿はあの頃のまま、捕球音は銃声。
武田翔太が教えてくれた「点検箇所」。
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNanae Suzuki
posted2016/02/22 10:30
大谷翔平、涌井秀章につぐ13勝をあげた2015年は飛躍の年だった。課題の四球は減るだろうか。
受けてみたいなぁ、もう一度。
バットでサンドバックを叩くような捕球音。記者たちのオオー……というため息、そしてどよめき。
受けてみたいなぁ、もう一度。
あの時の、あの感触がよみがえる。オレは受けたんだぞ、あのボール……。
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5球目か6球目に、バキューンと銃声のような捕球音がこだまして、武田翔太がちらっとこっちを見た。
ウンとうなずいたら、向こうでも小さくハイ、と返してきたように見えて、松坂大輔、和田毅、かつての大看板が戻ってきたソフトバンクホークスに、彼らの存在感を奪ってしまうほどの「若きエース」の貫禄を、武田翔太のマウンド姿に見た思いがした。
