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謙虚な好青年か? 無鉄砲な若者か?
宇野昌磨、氷上で劇的に変わる性格。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byAi Hirano
posted2016/02/18 13:15
シニアデビュー1年目からGPファイナル3位の成績を残すなど好調の宇野。前回の四大陸選手権では右足首ねんざの影響もあり5位。今回の躍進が期待される。
「独りでいるのが好き」な好青年。
一方の宇野は、
「独りでいるのが好きで、本当は友達いないんですよ。休みの日は家にこもって、コンビニでも行こうかなと思ってるうちに夜の10時になって、もう寝ようか、みたいな感じです」
と少し陰のある笑いを浮かべながら話した。
インタビューの際の様子はとても礼儀正しく、語り口は謙虚。山田満知子コーチが彼を「好青年」と形容するのもわかる、いい人ぶりなのだった。
ところが、氷上での宇野昌磨はまた別の一面を見せる。この点でも宮原と比較してみたくなるのだが、内なる闘志を決して外には見せず、常に冷静で正確無比な演技を披露する宮原に対して、宇野昌磨のスケートはとにかくアグレッシブなのだ。
宇野の「攻め切る」強気な演技。
特にそれがよく現れたのが昨年12月末の全日本選手権。フリーでの演技、冒頭の4回転が2回転になってしまった宇野はなんと最後のジャンプを急遽4回転に変更した。それは普通では考えられない選択肢だった。結局、最後のジャンプも失敗し、2回転に終わったが、演技を終えミックスゾーンで記者に囲まれた宇野はこう述べた。
「攻め切ることができたので満足です」
その表情には強がる所や見栄を張る部分は全くない。本心からの言葉であることがその場にいた記者たちにはわかったから、誰もがその「強気な姿勢」に驚いた。インタビューではその時のより詳しい心情も語っているのだが、それは是非、記事でご確認いただきたい。