フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
宮原知子、完璧主義の17歳――。
四大陸完勝で見えた世界の頂点。
posted2016/02/22 16:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
ISU via Getty Images
台湾の台北市で2月18日から開催された四大陸選手権で、女子の表彰式には2つの日の丸が上がった。宮原知子、長洲未来、本郷理華と、日本人と日系人がメダルを独占する結果となった。
リストのピアノの曲が終わると、一瞬静寂が会場をおおった。
宮原知子のフリー『ため息』は、まさに観客席から感嘆のため息を誘う演技だった。すべてのジャンプをミスなく降りただけでなく、スピン、ステップ、ひとつひとつの仕草に至るまで非の打ちどころがなく、小さな体から発するオーラは圧巻だった。
宮原の優勝。それは誰の目にも疑いはなかった。だが214.91という高い数字が出ると、会場から驚きの大歓声が沸いた。
この大会は全体的にSPからフリーの順位の入れ替わりが激しく、荒れた大会となった中、宮原はSPもフリーもトップを独走。2年連続2位だったこの大会で、2位に20ポイント以上の点差をつけてついに優勝をもぎとった。
「3回目でようやく優勝することができて嬉しいです。世界選手権につながる、良い試合になったと思います」会見で、宮原は控えめながらもそう喜びを表現した。
宮原はノーミスでも「80点」と厳しい自己評価。
昨年の3月、上海世界選手権で2位になったときは、どちらかというとサプライズだった。だが今シーズン、NHK杯で初優勝して進出したGPファイナルで2位。世界のトップ選手としてしっかりその地位を築いた。
「自分ではあまり自分が強いとか、自覚はないです。まだまだ、もっと強くなっていかないといけないなと思っています」
小さな声ではにかみながら答える宮原。だがもちろん、アスリートとしては熱心な練習に裏付けされた自信はある。この大会では、最初から優勝を狙っていたという。だがそのせいもあってなのか、「ミスしたくないという気持ち」が出てしまい、ジャンプの勢いに少し欠けたと自ら分析する。演技の自己評価はと聞かれると「80点」と答えた宮原。まだまだ満足することを知らない、完ぺき主義の17歳だ。