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最終日最終組はやはりドキドキする?
岩田寛が「狙えない」と知った瞬間。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySonoko Funakoshi

posted2016/02/17 10:30

最終日最終組はやはりドキドキする?岩田寛が「狙えない」と知った瞬間。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

1月末の試合では3日目を9位で終えながら4日目に大崩れしたこともある。岩田は着実にアメリカでの戦いを学習している。

第3打は、チップインを「狙えない」場所だった。

 チップイン・イーグルを狙おうとした72ホール目の第3打。岩田はその一打に全身全霊をかけ、勝負を賭け、思いきりドキドキしながら挑みたかったのだ。

 そう、本当は、あの一打にこそ「もっとドキドキしたかった」のだ。

 だが、ボールの地点まで行ったとき、それがチップインを狙える状況ではないことを知ってしまった。

「ディボット(芝が削れた穴)に入ってたんです」

 エクスキューズと思われたくなかったのだろう。いや、岩田自身、エクスキューズをしたくなかったのだろう。彼は公けの場では最後までその事実を明かさなかったが、あの第3打こそが彼の最大の痛恨になった。

 ディボットからうまく打ち出せず、イレギュラーバウンドしてすぐ目の前に落ちた第3打の結果が悔しいというより、勝負をかけたくてかけられなかったこと、挑む前に挑めない状況に陥っていたことに彼は悔しさを覚えていた。

「今日は、運もなかったんです」

 頑張ろうとすればするほど、頑張ろうとしたときほど、結果が悪い方へと向かっていった悔しさと焦燥感。自分ではコントロールできなかった無力感。そんな想いのすべてを岩田は「運がなかった」という言葉に秘め、そのまま胸にしまおうとした。

「もっとドキドキしたかった」

 大丈夫。次こそは、もっともっと――。

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岩田寛

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