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武藤嘉紀は交代させたくない選手?
「点を取る」だけではない新境地。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2016/02/09 18:10

武藤嘉紀は交代させたくない選手?「点を取る」だけではない新境地。<Number Web> photograph by AFLO

冬にマンチェスター・Uが獲得に動いたとの報道が流れた武藤だが、今はドイツの地で力をつける時だ。

以前なら真っ先に交代を命じられていたが……。

 ゴールを狙うだけではなく、チャンスメイクをしないと試合に出られない。そんな危機感を覚え、新たな一面を垣間見せはじめている武藤。シュミット監督もそれを感じ取っていたのだろう。後半22分、コルドバ投入時に監督が交代を命じたのは、マリだった。

 これまでならば、真っ先に交代させられるのは武藤であることがほとんどだった。以前交代させられた試合の後に、監督の決断に異議を唱えるつもりはないと踏まえたうえで、武藤がこう話していたことがある。

「交代の時間が早すぎるのは納得しづらいですが、それは自分が点を取らない限りこれがずっと続くと思うので。とにかく、やりつづけるしかないかなと思います」

成長の契機が見えたタイミングでの離脱だが……。

 しかし今、武藤は監督にとって交代したくない選手になりつつある。そこには大きくわけて2つの理由がある。武藤が守備の際に他のFW以上の貢献をすること、ボールを運ぶ動きが効果的だったことだ。

 それだけにハノーファー戦は、武藤にとってターニングポイントになりうる試合だった。が漂っていた。そのタイミングでの離脱、これから数週間はリハビリに追われることになる。

 レギュラーを争うコルドバも、加入以来最高のパフォーマンスを見せはじめているこの状況でピッチを離れるのは、武藤にとって大きな痛手であるように“見える”。でも、本当にそうだろうか。

 武藤の歩みは、加入直後から順風満帆に見えるものだった。

 マインツでの最初の半年で、リーグ戦17試合中の16試合に先発して7ゴール、4アシストを記録しているのだ。実際、シュミット監督は昨年末にこんなことを話していた。

「ヨッチにとってのマインツでの最初の半年間は、これまでキャリアのなかで最も重要な時間と言えるのではないかな」

【次ページ】 エースナンバー「9」の真価が問われる。

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