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武藤嘉紀は交代させたくない選手?
「点を取る」だけではない新境地。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/02/09 18:10
冬にマンチェスター・Uが獲得に動いたとの報道が流れた武藤だが、今はドイツの地で力をつける時だ。
なぜ最もゴールに絡んでいた武藤が左MFに?
続く第19節のボルシアMG戦では再び武藤が先発として送り出され、チームも1-0で勝利をつかんだ。そして、第20節のハノーファー戦でも武藤はスタメンに入り、ハイロの決勝ゴールの起点となった。
しかし、疑問は残る。武藤はなぜインゴルシュタット戦でスタメンを外れたのか。そして、なぜ左MFとして起用されたのか。
そもそも、リーグが中断期間に入るまでの17試合で、武藤はチーム2位の7ゴール(1位はマリの8ゴール)を挙げ、アシストを含めてゴールに絡んだ数がチームトップの11回だった。そんな武藤がゴールに最も近いポジションで先発しなかったのは、“不可解”に映った。
「(第17節が終わってからの)中断期間中、ずっとワントップではやれていなくて。(練習試合や練習では)ずっとサイドのポジションでプレーしていました」
武藤は今年に入ってから置かれた状況について、そのように振り返っていた。
つまり、リーグが再開する前の早い段階で、シュミット監督は、コルドバを1トップの位置で先発させようと考えていたことになる。
引いて守る相手に武藤は有効ではない?
その伏線となる出来事があった。
舞台は12月11日、第16節のシュツットガルト戦をスコアレスドローで終えたあとの記者会見場だ。シュミット監督は、試合後の記者会見が終わったあとも記者たちにかこまれて質問を受ける。そこで、極端にDFラインを下げた守備を固めてきたチーム――まさにこの日のシュツットガルトのような相手だが――と戦う場合の対策について話題が及んだ。シュミット監督は一呼吸おいてから、切り出した。
「攻撃の場面で、これほどまでに良い形を作れなかったのは、(第1節の)インゴルシュタット戦以来だったかもしれないね……」