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武藤嘉紀は交代させたくない選手?
「点を取る」だけではない新境地。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/02/09 18:10
冬にマンチェスター・Uが獲得に動いたとの報道が流れた武藤だが、今はドイツの地で力をつける時だ。
ドリブル、チャンスメイクに意識が?
Number895号で、武藤は自ら仕掛ける重要性、ドリブルをする場面を増やしたいという考えを明かしている。
そんな想いをふまえた上で、武藤がスタメンに復帰した第19節ボルシアMG戦を終えたあとの話に耳を傾けてみよう。翌週のハノーファー戦にむけて、どのようなプレーを心がけたいか、という質問への答えがこうだった。
「得点が欲しいのはもちろんですけど、それだけだと空回りしてしまうと思います。まずはチームのためにプレーして、そうしているうちにラッキーボールが来ると思うので、そこで決め切りたいです」
その言葉通り、武藤はチャンスメイクのために奮闘した。前半24分にはゴールラインを割りそうなボールに対して最後まで走ったことで、ハイロの決勝ゴールが生まれた。
後半13分に見せた、自身最高のドリブル突破。
圧巻だったのは後半だ。
後半13分、自陣のペナルティエリアの少し外でボールを受けた武藤は、ドリブルをしながらスピードをあげていく。1人、2人……。気がつけば身体を寄せてきたハノーファーの3人の選手を次々に置き去りにした。
結果的にはロングパスを受けた味方のトラップミスもあり、このチャンスは決定機に結びつかなかった。とはいえ、武藤がマインツに来てからの公式戦で見せたドリブルのなかで、もっとも効果的だったのはこのシーンだと断言できる。
また、この試合ではシュートへ至るまでの新たな流れも見せている。それまでの武藤は、味方からパスがこない時もタイミングとエリアを身ぶり手ぶりで伝え続け、パスを受けてシュートにつなげる場面が多かった。しかしこの日は、自らドリブルで切れ込んでリズムをつかんでいった。