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川口能活、相模原で「もうひと花」。
サッカーの全てを楽しむために。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTsutomu Takasu
posted2016/02/09 10:40
日本代表116キャップはGKとしては史上最多。その佇まいには、彼が重ねたキャリアと実績が確かに刻まれている。
「多分、ここが最後のクラブになるのかなって思う」
相模原を移籍先に決めた、もう一つの理由に家族の存在がある。
岐阜で単身生活を送っていた際は、ケガで苦しいときに考えすぎてしまう自分がいた。でも今は違う。練習グラウンドまで車で1時間以上かかってしまうとはいえ、自宅から通えることで余計なストレスもなくなった。
「(岐阜では)週に一度、休みに家族のところに帰ってくるという生活でしたけど、今はずっと一緒にいることができるし、家族の力って大きいんだなってあらためて感じています。毎日、みんなからエネルギーをもらっているので」
小学3年の長女、2歳の長男と触れ合える時間が長くなった。岐阜時代に背番号を「22」にしたのは、長女が選んだ番号だったから。長男は今、テレビでパパの昔の映像が流れると、大はしゃぎするという。目の前で自分のプレーを家族に見せてあげたい。試合に家族を呼べることも大きなモチベーションになっている。
川口はつぶやくようにして言った。
「多分、ここが最後のクラブになるのかなって思う。だから自分らしくやりたいし、楽しみたい」
サッカーを楽しめる場。
相模原は出会うべくして出会った運命のクラブなのかもしれない。