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太田宏介がハリルに課された宿題。
オランダで真の「デュエル」を学べ。
posted2016/02/06 10:40
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
AFLO
オランダの首都、アムステルダムから電車で約1時間。フィテッセのホームタウン・アーネムは、こぢんまりとしながらも多くのショップやレストランが並ぶ地方都市だ。
初の海外住まいとなる太田宏介は、毎日練習の合間に生活用品を揃え、入居したばかりの家の片付けに追われる日々を過ごしている。スポンジを手に風呂を磨き、近くの大型チェーン店で購入した大きなカーペットをせっせと敷いていく。
「海外生活、想像以上に大変です」。その言葉とは裏腹に、楽しくてたまらないという感情が笑顔に表れていた。
2014年、'15年と2年連続でJリーグベストイレブンに輝いた、左足のスペシャリスト。サイドバックながら昨季は13アシストを記録し、柴崎岳や中村憲剛といった並み居るMF陣を制し見事アシストキングに輝いた。
28歳。サッカー選手としては決して若くはない年齢ながら、昨年オランダ1部のフィテッセから獲得のオファーを受けた。所属先のFC東京とはまだ契約が残っていたが、違約金を払ってでも欲しいという熱烈なラブコールだった。“アラサー”年代の日本人選手が、欧州でここまで高く評価されることは異例。FC東京への愛着もあり即決できなかったが、最終的にオランダ行きを決断した。
パスを受ける機会も増え、セットプレーも任された。
現在、リーグ戦には移籍後4試合連続でフル出場。自慢の左足からのクロスはまだ味方とのタイミングが合わない場面も多いが、試合ごとにパスが回ってくる機会は増え、武器のセットプレーも任されている。
「日本にいたら、ある程度ポジションも確約されていただろうし、試合に出られる立場にいた。それを捨ててヨーロッパに来て、みんな僕のプレーを知らない環境に入っていって。選手たちがどんな奴なんだと見てくる。その緊張感をすごく楽しめた。
1月の初めにオランダに渡って、すぐにスペインキャンプに行った。そこでは練習試合にも30分ぐらいしか出なかったし、僕は年末まで日本で試合をしてきたので疲労を考慮された練習になることも多かったよ。だからリーグ戦も最初の数試合はベンチスタートかもしれないと覚悟していた。ただ、結局ここまで全試合で先発できている。おかげでそれまで左サイドバックでプレーしていた選手がちょっと拗ねているみたいで(笑)。でもこれも競争ですからね」