ハリルのいう事が本当の意味でわかった。

　オランダに渡ってまだ間もない太田だが、すでに歴然とした差を痛感したという。

「今だったら、ハリルホジッチ監督が言うデュエルの本当の意味や大切さが理解できる。球際の激しさ、攻守の切り替えのスピードとパワー。Jリーグはやっぱりまだまだ遅いんだなと。こっちの選手は日本人よりも技術的に劣る人もたくさんいるけど、上手い下手関係なく、とにかく全員スピーディーで激しくプレーする。そういうことを、ハリルホジッチ監督は言っていたんだなとわかった。

　僕はその部分がまだ足りないとわかっているし、それはハリルホジッチ監督にもずっと言われ続けてきたこと。弱点を補うためにも、ここでの勝負が大事。日本人相手にずっと戦っていては、きっと限界がある。こっちには異次元に速くて、強い選手がいる。僕はJリーグでプレーしながら代表に入り続けていた時も、本当の意味では海外でプレーしている選手が持っていた感覚はわからなかったと思う。ぶっつけ本番で外国の選手と戦うと、なかなか思うようにいかないことも多かった。だからこっちで経験して、物怖じしない自分を作りたい」

ミーティングで直接言われた「守備で戦う部分」。

　フィテッセの試合では、自慢の左足もさることながら、これまでの彼への印象にはなかったプレーがすでに散見し始めている。敵のカウンターを受ける場面で、これまでの太田ならプレーを遅らせることを優先して守備していたところを、ファウル覚悟で身体をぶつけ相手の進行を妨げようとした。仮に自分がボールを奪えなくても、体を張って時間をかけることで味方の帰陣を促す。そんな無骨な守備意識が、非常に新鮮に映った。

「年末に日本代表候補のミーティング合宿があって、そこでハリルホジッチ監督に直接言われたんですよ。『とにかくお前の左足、攻撃はすばらしいから心配いらない。だからオランダでは守備で戦う部分も伸ばしてほしい。そこがどう変化していくか、ちゃんと見ているから』と。そのときも、選手全員に直接コミュニケーションを取っていたわけではないのに、その中で直接呼ばれて言われた。だから、ここから僕は目に見えるような成長をしないといけない」

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