ミラノダービー前に本田に連絡を取ると……。

　ピッチの内外で刺激に溢れた日々が始まった。初めての海外生活。太田はすでに持ち前の行動力を発揮している。

　1月30日、ホームでエクセルシオール戦を終えたあと、昨年から休みのない太田にクラブからリフレッシュの休暇が数日与えられた。

「え、明日ミラノダービーがあるんですか？」

　すると太田は早速携帯電話を取り出し、ある人と連絡を取り始めた。そのまま飛行機のチケットも予約。翌日の夕方には、ミラノのホテルにチェックインしていた。

　大観衆が集まった、サンシーロ。ミラン対インテルのダービー戦、太田は本田圭佑が用意したメインスタンド中央の席に座り、試合に熱視線を送った。すぐ近くには、同じ左サイドバックとして憧れていた、パオロ・マルディーニの姿もあった。

「28歳でヨーロッパ挑戦は遅いと思われるかもしれないけど、むしろ選手としてはここから一番良い時期を迎えるとも言える。こんなに刺激がたくさんある環境。まだまだ成長できる」

　イタリアからオランダに戻った太田は、休日を自ら短縮し、すぐに練習場に向かったのだった。