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プチ鹿島、1月のスポーツ新聞時評。
主役は琴奨菊……じゃなくてSMAP!? 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byKyodo News

posted2016/02/01 18:20

プチ鹿島、1月のスポーツ新聞時評。主役は琴奨菊……じゃなくてSMAP!?<Number Web> photograph by Kyodo News

優勝から一夜明け、初優勝を報じるスポーツ新聞をズラリと並べた琴奨菊。

各スポーツ紙を比較すると見えてくる!?

 この記事の時点で、巨人は逆転で日本シリーズ進出の可能性があった。だから衝撃的な記事だ。「2年契約の最終年、球団から正式な続投要請がない」「後任候補には江川氏」とあった。

 ここで私は「解任」という言葉が気になった。原監督はこのシーズンで契約切れ。もし辞めるとしても「解任」よりは「退任」という言葉のほうが正しい。そこに言及したのは日刊ゲンダイ。

《原監督とつながりが深いスポーツ紙が気持ちを代弁したともっぱら。『解任』とは穏やかじゃない。契約が切れる原監督には当てはまらない言葉。原監督がマスコミを使って続投要請を催促したようなものだ、と受け取っている人がほとんど。》(2015年9月29日付)

 同様の指摘は週刊誌にもいくつかあった。つまりあの記事は「原監督をやめさせるなんてとんでもない」という世論形成が目的だったという説である。

 これを頭に入れてスポーツ紙のSMAP解散報道を読んでみると興味深かった。つまり「誰が書かせているのか」という視点である。「記事が出ることによって誰が得をするのか?」と言い換えてもよい。

各メディアが、それぞれどの立場で報道したか?

 1月13日(水)、日刊スポーツが「SMAP解散 ジャニーズ激震」「キムタク以外独立」と1面見出しで書き、騒動に火がついた。同じ朝刊紙のスポーツニッポンも最終版で「SMAP分裂」。

 この日の午後、ジャニーズ事務所が「たしかに、この件について協議・交渉がなされている事実は存します」と正式に認める。事務所の「異例の反応」によってさらに騒ぎが大きくなった。

 翌日発売の「週刊新潮」がSMAP解散について書いているという情報もSNSで飛び交った。そこで想像してみるのである。

 もしかしたら、新潮の記事に対する防衛策がスポーツ紙でおこなわれたのではないか?

 芸能担当を通して情報戦がおこなわれているのではないか?

 野次馬としてはこんな見立ても成り立つ。

 ここで思い出したいのが先ほどのスポニチだ。SMAP報道初日の記事の最後に「事態を打開するのはファンや世間の声かもしれない」と書いてあった。同じ紙面には「SMAP分裂回避の鍵は世界に一つだけの“絆”」という見出しも。この時点で「分裂回避の鍵」に言及していたことは覚えておきたい部分である。

【次ページ】 東スポがシリアスになった時は、怖い。

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