野球クロスロードBACK NUMBER
山田哲人“3年計画”最終年の野心。
広島・菊池越えでゴールデングラブを。
posted2016/02/03 10:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Nanae Suzuki
表彰式やテレビ出演で、昨年の12月は彼を見ない日はなかった。「ありがたいことですけど、ちょっと休みたいっす」。ヤクルトの山田哲人は苦笑交じりに本音を漏らしていたものだが、年が明けた1月の彼は“雲隠れ”したかのように姿を消した。
言うまでもなく、休んでいたわけではない。
松山での自主トレでは「(参加した選手のなかでは)一番ウェイトをやったと思う」と言い切り、東京に戻ってからも人目に触れない場所で黙々とパワーアップに努めた。
すでに山田は戦闘モードに入っている。
若松勉、池山隆寛、岩村明憲、青木宣親。レジェンドたちによって価値を高められてきた栄光の背番号「1」を受け継ぐ今年は、山田にとって真価が問われる1年になる。
達成すればプロ野球史上初となる2度目のトリプルスリーに加えて、ゴールデングラブ賞という壮大な目標は、伝統の背番号1を継承した彼の所信表明でもあるはずだ。
「菊池さんを越えられるかはわからないけど……」
特にゴールデングラブ賞への想いは強い。
しかし山田が守るセカンドには、広島の菊池涼介がいる。3年連続でタイトルを獲得している球界ナンバーワンの名手の牙城を、そうやすやすと崩せるわけではないだろう。
「ゴールデングラブ賞は獲りたいですよ。菊池さんを越えられるかわからないですけど、近づきたいですね」
意欲が控えめなようでも、公に目標を述べている時点で菊池に対して宣戦布告しているようなものである。
言った以上は成し遂げる。山田は有言実行の選手だ。それは、過去の実績が明確に物語っているではないか。