“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-23の守護神はこうして生まれた……。
GK櫛引政敏を見守る、ふたりの恩師。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/01/30 07:00
ファインセーブで何度も手倉森ジャパンの危機を救った櫛引。この1月には期限付き移籍で鹿島アントラーズに活躍の場を移すことが発表された。
「本当に勝負強くなった」
AFC・U-23選手権において、櫛引は日本の守護神としてゴール前に君臨。グループリーグの試合では、第3戦のサウジアラビア戦を除くすべての試合でスタメンフル出場し、初戦から安定したセーブを披露。決勝T、準々決勝のイラン戦では、神懸かり的なファインセーブを連発。中でも延長前半で先制点を奪った直後、相手との1対1をセーブしたシーンは湯田がこだわって教え続けた、最後まで相手を見切って、シュートコースを完全に塞いだからこそのビッグプレーだった。
準決勝のイラク戦では1失点こそ喫したが、決定的なミドルシュートを外にはじき出し、クロスへの冷静な対応も見られた。
まさに守護神という活躍ぶり。リオ五輪出場権獲得に至るまで失点を抑え続けた彼は、現時点で今大会のMVPと言っても過言ではないだろう。
「ビッグセーブが1試合で2本くらいないと、素晴らしいGKとは言えない。カタールでのマサは、そのゾーンに入っている」(湯田)
「テレビを通して勝ちたい表情が見て取れた。チームの柱になろうという意識が高くなったし、本当に勝負強くなった」(黒田)
櫛引政敏という男の将来を繋いだ2人のキーマン。
この2人に導かれた男は、今、リオ五輪のキップと共に、アジアチャンピオンの称号をその手に掴み取ろうとしている。