フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
全米選手権で劇的な逆転女王に!
華麗に復活したG・ゴールド。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2016/01/28 11:00
2度目の全米制覇で喜びを爆発させたゴールド。世界選手権では「もし表彰台にいなければ、何もしなかったと同じこと」と強気のコメント。
貫禄の演技を見せた24歳のワグナー。
24歳のワグナーは、今年で2年目となるプログラム『ムーランルージュ』で、素晴らしい演技を見せた。これまでも何度も追い詰められた状況で実力を発揮してきたベテランの彼女らしく、落ち着いてジャンプを決めていった。
6度の3回転を成功させたが、最後のルッツが1回転になってしまったのが唯一のミス。演技を終えると、どうかな、というようにちょっと小首をかしげた。フリー135.47だったがトータルは200点に届かず、総合で197.88にとどまった。
エドモンズはフリーでもほぼノーミス!
エドモンズは強い意志を感じさせる、厳しい表情で氷上に出てきた。フリーは、元全米チャンピオンのルディ・ガリンド振付による『風と共に去りぬ』。3ルッツ+3トウループから演技をはじめ、着実に一つ一つジャンプを降りていった。
子供の頃からバレエをやってきたというだけあり、長い四肢を使って優雅な動きを見せる。最後の2アクセルまでノーミスで滑りきり、フリー137.32、総合207.51という数値が出たとき、これは新チャンピオンが誕生したと誰もが思ったに違いない。
最終滑走は、グレイシー・ゴールドだった。
才能はあるが……伸び悩んでいたゴールド。
ソチ五輪で4位と表彰台に迫ったゴールドの抜き出た才能は、シニアに上がってきた当時から注目されていた。昨シーズンはNHK杯で優勝して初のGPタイトルを手にし、世界選手権の表彰台にもっとも近いところにいる米国女子として、メディアも熱い視線を向けてきた。
だが12月には初出場のGPファイナルで5位に終わるなど、結果はいまひとつ伸び悩んでいた。才能はワグナーよりゴールドが上だが、勝負強さはワグナーが上、と言われていた。
フリー演技前も、NBCの解説を担当しているタラ・リピンスキーは「彼女はプレッシャーに弱い。(エドモンズの高得点の直後で)このプレッシャーにどう反応するでしょう」と懸念を表した。