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エディー・ジョーンズの新たな挑戦。
~シックス・ネーションズ2016観戦ガイド~
posted2016/01/21 11:00
text by
小林深緑郎Shinrokuro Kobayashi
photograph by
Getty Images
桜の戦士の勇躍に沸いたワールドカップもはや思い出となり、新しいシーズンの幕開きとなるのは、2月6日に初戦を迎える伝統のラグビー選手権「シックス・ネーションズ」だ。
北半球の王者を決めるこの大会は、イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズの4カ国による相互対戦が実現した1883年に始まっている。1910年にはフランスが加わり、さらに2000年にイタリアを加えて、現在のシックス・ネーションズへと発展を遂げてきた。
エディー・ジョーンズにとっての、高いハードル。
昨年のW杯で不振に終わった北半球の6カ国にとって、この大会は'19年W杯日本大会に向けたリスタートとなる。とりわけ注目が集まるのは、W杯のホスト国として史上初のグループリーグ敗退を喫したイングランドだ。新監督はエディー・ジョーンズ。日本代表の記憶は彼の地でも鮮烈で、ラグビーの母国が初めて迎えた外国人監督への期待値は高い。だがジョーンズ監督にとって、今大会は意外に高いハードルになる可能性がある。それは、前任のランカスター監督時代のイングランドが、4年連続2位の成績を残しているからだ。前任者以上の成績といえば「優勝」しかない。
ジョーンズ監督は代表スタッフを入れ替え、要職をサラセンズ在籍時代からの知り合いで固めた。FWコーチは日本代表のときと同じスティーブ・ボーズウィックを起用。ディフェンスコーチに就任したポール・ガスタードは、かつてジョーンズがコーチへの転身を後押しした人物だ。この万全の体制で、新監督は「セットプレイで勝ち、ディフェンスを固める。アタックはシンプル第一で、ゲームのテンポを早めることが肝心」と初戦の勝利に集中している。
そのイングランドのライバルとなるチームは、シックス・ネーションズ2連覇中のアイルランドだ。北半球では敵なしとはいえ、W杯の準々決勝ではアルゼンチンに完敗。その試合で露呈したタッチ際の守備の欠点を修正するために、イングランドのディフェンスコーチだったアンディー・ファレルを採用した。FLショーン・オブライエン、SOジョナサン・セクストンら中心メンバーは健在で、3連覇となれば'66年のウェールズ以来50年ぶりの快挙となる。