フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
米国王者J・ブラウン「ユヅルには脱帽」。
フィギュア全米選手権棄権の衝撃。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2016/01/09 11:00
昨春に開催された世界フィギュアスケート国別対抗戦で米国チームが優勝した時のブラウン。男子シングルでも銅メダルを獲得していた。
まだブラウンが選ばれる可能性も……。
今季の米国男子の世界選手権出場枠3枠は、昨年の上海世界選手権で4位だったブラウンと、8位だったアダム・リッポンによって勝ち取られたものである。
現在のアメリカで、ブラウン以上にボストン世界選手権でのメダルの可能性がある男子は今のところ見当たらない。全米を欠場しても、ブラウンが世界選手権代表に選ばれる可能性はまだ残っているのだ。
世界選手権に出場希望を連盟に陳情するか、という質問が出ると、ブラウンはこう答えた。
「まだ先のことすぎて、今はとても決められない。あせらずに、今はとにかく体を癒すことにゆっくり専念したいと思っています」
「ユヅルには脱帽」
彼が休養中、NHK杯、そしてGPファイナルで羽生結弦が出した世界新記録に関してどう思うかと聞かれて、ブラウンはこう語り始めた。
「ユヅルは、とてつもないことをやり遂げたと思う。完全に、脱帽です。彼はこのスポーツを変えてしまった。彼のことは尊敬しているし、本当に素晴らしいと思う」
その一方で、ここまで1人の選手が他よりも格段に抜き出たという現状は、アスリートとしてどのように感じているのだろう。
「やる気がなくなる、なんてことはありません。逆にモチベーションは上がります。他の選手たちも、もっとリスクを負って色々新しいことにチャレンジをしていくだろうし、少しでも彼に近づこう、追いつこうとして切磋琢磨することでしょう。スポーツはそうやって進化していくもの。彼の功績によってこのスポーツが、またぐっとレベルアップすることになると思います」
ブラウンはあくまでポジティブにそう語った。