フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュアシーズン前半戦の総括!
後半テーマは「誰が羽生に迫るか?」。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/01/11 10:40
全日本での自らの出来に不満だった羽生は、「これでもっとハードに練習できる」と語ったという。
パフォーマーらしくなった宮原知子。
女子は、17歳の宮原知子の成長ぶりが印象的だった。
記者たちの前では常に笑顔を絶やさないものの、相変わらず声がとても小さく、シャイな高校生といった雰囲気の宮原。だが氷の上では、みごとに一皮剥けた感がある。
もともと正確だったジャンプなどの技術に加え、今シーズンの彼女の演技には人前で演じることの楽しさと、表現することへの強い意識が感じられる。頑張り屋さんの優等生から、自らの意思で表現するパフォーマーが孵化したようだ。
現在の彼女は体力、技術、そして精神力のバランスがよく取れていて、抜群の安定感がある。
樋口新葉には、世界ジュニアでのメダルを期待。
全日本で2位となった樋口新葉は、3月にハンガリーで開催される世界ジュニアに出場する。スケーティングに伸びがあり、ジャンプも質が高く、決して先を急がない表現力は、とてもまだ14歳とは思えない。
ロシア勢は強敵だが、彼女が本来の実力を発揮できれば表彰台に上がることは十分可能だ。年齢の割には落ち着きがあり本番度胸もある彼女の、国際舞台での活躍に期待したい。
そして……浅田真央へ期待するもの。
全日本ではフリーで挽回して3位に入った浅田真央。GPファイナルでは体調不良のため、彼女らしい演技が見せられずに6位に終わってファンをはらはらさせた。
だがすでに世界タイトルを3度手にした彼女にとって、実力を証明しなくてはならない理由はどこにもない。もう試合のたびに、順位や得点で一喜一憂しなくても良いのではないかとすら感じる。
氷の上に立つだけで、彼女ほどの存在感があるスケーターは、現在ほかにいないのだから。
今本人が背負っているものは、唯一自分が目指している演技だけ。競技スケートの中で彼女自身の「理想とする演技」というものが、本人にははっきりと見えているのだろう。
浅田真央というスケーターがどこまで行けるのか、その限界に挑戦したい――本人がその挑戦を喜びと感じている限り、しっかり見届けさせてもらいたいと思う。
女子は2月の四大陸選手権、3月の世界選手権ともに、宮原、浅田、本郷の3人が出場する。