球体とリズムBACK NUMBER
「歴史上で最も優れたチームでは」
リーベルGKが嘆いたバルサの秘密。
posted2015/12/22 10:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「何本かシュートを止めても、まったく安心できなかった。まぎれもなく、自分が対戦したなかで最強のチームだ。いや、サッカーの歴史上で最も優れたチームではないだろうか。ピッチ上で彼らの猛攻を受け止めた私は、ひしひしとそう感じた」
クラブワールドカップの決勝でバルセロナに3点を奪われたリーベル・プレートのGKマルセロ・バロベロは、そう言ってうなだれた。
リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールのMSNが揃い踏みしたバルサは、序盤こそリーベルの粘り強い守備に手を焼いたが、細かいパスワークと大きなサイドチェンジで揺さぶり続けると、最終局面では極上のスキルで得点を重ね、結局は完勝。
メッシはボックス内にほんのかすかなスペースを見つけて左足のアウトでねじ込み、1点を追って敵が前がかりになれば、ショートカウンターを仕掛けてスアレスがGKとの1対1を間違いなく制す。最後は絶妙のタイミングで裏に抜け出したスアレスが、ネイマールの寸分違わぬクロスに頭を合わせて勝負を決めた。
ルイス・エンリケ「実に良い質問だ」
バルサはこれで、最多記録を更新する3度目の世界一の称号を獲得。もっとも、今日の相手は欧州のものさしで測れば、チャンピオンズリーグのグループステージを突破できるか否かというレベルかもしれない。それでも“FIFAの世界大会”で準決勝に続く3-0のスコアは、彼らの抜きん出た実力を厳然と示すものであり──ほんの1カ月前には宿敵レアル・マドリーから敵地で4-0の完勝を収めている──、試合後は冒頭の相手GKを始め、現バルサの史上最強説がそこかしこから聞こえてきた。
「あなたのチームはこの上なく高いレベルでプレーします。現在のバルセロナが今以上に成長していくことは可能だと思いますか」
そう質問されたルイス・エンリケ監督は、「実に良い質問だ」と前置きした上でこう語った。
「もちろん、我々はもっと成長していきたい。選手たちは最高のクオリティーと自信を備えている。選手の入れ替わりはあるが、バルセロナには優れた下部組織があり、優秀な選手を次々に輩出するとともに、そこではすべてのカテゴリーで同じ哲学と目標が共有されている。そして、彼らに人間としての成長も促しているのだ。我々はこれからも進化し続けるだろう」