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君はボブ・ホーナーを知っているか?
野茂、イチローらMLB新人王の系譜。

posted2015/11/26 10:30

 
君はボブ・ホーナーを知っているか?野茂、イチローらMLB新人王の系譜。<Number Web> photograph by Getty Images

来日前、メジャーでプレーしていた頃のホーナー。日本では「赤鬼」とも呼ばれた。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 ボブ・ホーナー。

 その懐かしい名前に遭遇したのは、11月16日月曜日、その日発表されたメジャーリーグ最優秀新人賞のニュースを検索している時だった。

 ナ・リーグのクリス・ブライアント三塁手(カブス)は、満票(30票)で文句なしの受賞だった。ブライアントは大学野球最後のシーズンとなった2013年、アマチュア野球の最優秀選手に贈られるゴールデン・スパイクス賞と、大学最優秀選手に贈られるディック・ハウザー・トロフィーを同時獲得した選手で、同年のドラフト1巡目(全体2位)指名でカブスに入団すると、翌2014年には全国紙USA Todayと専門誌Baseball Americaがそれぞれ別個に設定しているマイナーリーグ最優秀選手に、やはり同時選出されていた。

 アマチュア野球とマイナーリーグの最優秀選手賞、そしてメジャーリーグの最優秀新人賞の「3年連続」選出は史上初の快挙だという。ただし、ホーナーの名がリンクしたのはブライアントではなかった。17票対13票で2位フランシスコ・リンドア遊撃手(インディアンス)に僅差で競り勝ち、ア・リーグの最優秀新人に選出されたカルロス・コレア遊撃手(アストロズ)の方である。

アで全体1位指名選手が最優秀新人になったのは初。

 1965年に始まったメジャーリーグのドラフトの全体1位指名選手の中で、最優秀新人に選出された選手はコレアが史上4人目だった。アマチュア選手の契約金が高騰してから少し事情が変わったものの、逆指名やくじ引きのないアメリカのドラフトでは最初に指名された選手が本来は「その年のアマチュア最高選手」という扱いなので、全体指名選手が最優秀新人となるのは「額面通り」と言えなくもない。

 しかし、実は周囲の期待に応えた選手は少なく、アレックス・ロドリゲス内野手(現ヤンキース)やケン・グリフィー・Jr.(引退 ともにマリナーズにドラフトされた)らのキャリアを考えれば、「全体1位指名選手は最優秀新人に選出されない方が出世する傾向がある」と言ってもいいだろう。

 コレアはア・リーグ初の全体1位指名選手の最優秀新人賞獲得だった。ナ・リーグでは今季のナ・リーグ最優秀選手に選出された2010年のブライス・ハーパー外野手(ナショナルズ)、その前は1983年ダリル・ストロベリー外野手(当時メッツ)。そして、史上初のドラフト全体1位指名選手で最優秀新人に選出されたのが、1978年のボブ・ホーナー三塁手(当時ブレーブス)だった。

【次ページ】 FAでMLBに「干されて」、来日することに。

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