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ゴルフ全米女王はビジネスも世界一!?
ステイシー・ルイスが抱く野望とは。
posted2015/10/28 10:30
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
今から約7年前の2008年に数々のアマチュアタイトルを制した女子大生、ステイシー・ルイスには夢があった。
「プロになったら強い選手になり、米ツアーに貢献したい」
夢は現実となる。いや、夢を実現させたという方が正しいだろう。
同年12月、プロゴルファーになるシード権の獲得をかけた大会「Q-school Final」で、当時天才少女と騒がれたミッシェル・ウィー、高校を卒業したばかりの宮里美香ら、将来のスター選手を抑えて優勝する。
2011年に米女子ツアーで初優勝してから、今までに通算11勝をあげ、29歳になった昨年は、ついに賞金女王、年間最優秀選手賞、ベア・トロフィー(平均ストローク)の3冠を米国選手として21年ぶりに達成した。
近年アジア勢が席巻する米女子ツアーで、テキサス育ちのヒロインが誕生したことを米女子ゴルフ界が放っておくわけがない。世界ランク1位に上り詰める過程で、続々とスポンサーがついていった。
「Marathon Petroleum」「Pure Silk」「KPMG」というスポンサー3社は、ステイシーの活躍ぶりに触発され、ついに冠スポンサーとなる大会を新設した。
またステイシーが直接運営に関わらずとも、母校のあるアーカンソー州でも大会が新設された。ゴルフチャンネルが放映した同大会の視聴率は、ステイシーが制した昨年が、ここ3年間で一番良かった。ステイシーのスポンサーの1社であるManulifeも大会を以前から運営しているので、今年は「ホステスプロを務める4大会」+「間接的に関与する1大会」=計5大会に関わっている。つまり、2015年度の米女子ゴルフの賞金総額は約71億円だから、6分の1となる「約12億円」をたった一人の選手、ステイシーが生み出していることになる。
大学時代から発揮していた類まれなビジネスセンス。
「選手として当然のことをしているだけです」ステイシーはさらりと言い切る。
「米女子ゴルフ協会の創設時は苦難の時期だったと聞いています。創設時の選手13名は、コースの予約から大会の運営まで全て自分たちで行ったそうなんですよ。今も基本は選手主導でツアーを運営すべきだと思っているので、他の選手には私が何をしてるか見てほしいし、何ができるか考えてほしいですね」
もちろんステイシー個人では出来ることに限りがあるため、元弁護士のエージェント、カン氏がしっかりサポートしている。
「我々はビジネス面の戦略から、修正点や方向性など色々話し合います。ステイシーはすでに大学生のときに、米ツアーに対してビジネス的なアイディアを持っていました。ファイナンスと会計学という2分野を専攻していましたしね」(カン)