スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
短期決戦とラッキーボーイ。
~マーフィの6試合連続本塁打~
posted2015/10/24 10:30
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
2週間前、私はディヴィジョン・シリーズの結果をこう予想した。
NLDS:メッツ>ドジャース
カブス>カーディナルス
ALDS:ロイヤルズ>アストロズ
ブルージェイズ>レンジャーズ
運のよいことに、ここまでは予想が完全に的中した。が、そのあとがいけない。私は
NLCS:カブス>メッツ
ALCS:ロイヤルズ>ブルージェイズ
*略号については、NL=ナショナル・リーグ、AL=アメリカン・リーグ、CS=チャンピオンシップシリーズ
と予想したのだが、ナ・リーグの大穴カブスがメッツに4連敗を喫してしまったのだ。
カブスのエース・アリエータを打ち砕いたマーフィ。
10月17日と18日、カブスはメッツの本拠地で2連敗した。しかも負け方が悪かった。初戦はヴェテランのジョン・レスターを立てて2対4と敗れ、第2戦は絶対エースのジェイク・アリエータをマウンドに送り込みながら1対4と苦杯を喫したのだ。
とくに第2戦は、けっして落としたくないゲームだった。舞台が敵地のシティ・フィールドとはいえ、今季のカブスは、レギュラーシーズンでメッツに7勝0敗と圧倒的優位に立っていた。ましてアリエータは、今季後半の防御率=0.75が示すとおり、抜群の投球を見せてきた投手だ。ワイルドカードの対パイレーツ戦を見ても難攻不落の印象が強い。ただ、NLDS第3戦の対カーディナルス戦では、かすかに不安な翳りを覗かせていた。そろそろ疲れが出てきたのだろうか。
そんなアリエータに牙をむいたのが、メッツのラッキーボーイことダニエル・マーフィだった。1985年4月生まれだから、もはや若いとはいえない。'06年のドラフトで13巡目(全体では394位)に指名されてメッツと契約を結び、'08年から大リーグでプレーしている。といっても、本塁打数は初年度を除くと年間平均10本。打率は2割8分から9分といったところで、通常ならばそうマークされる選手ではない。
ところが、このマーフィが大化けした。