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巨人を支える控え選手の充実度。
CSに見る原監督のマネジメント力。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/10/13 16:30

巨人を支える控え選手の充実度。CSに見る原監督のマネジメント力。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

10月10日のCS初戦、10回裏1死満塁で代打高橋由伸。押し出し四球で巨人が勝利を決めた。

守備要員の寺内に代打を送らない判断。

 寺内について忘れられないのが、まだ昇格して間もない9月23日の阪神戦でのことである。

 寺内は7回裏の代走から試合に出場した。この時の巨人はというと、村田修一が右ひじの違和感を訴えて二軍に降格したばかりで、代わりに一軍にいたのは中日から移籍してきた吉川大幾やルーキーの岡本和真、井端弘和だった。

 試合のスタートは岡本和真が7番・三塁手として出場、2打席を終えたところで岡本に代打が送られ、その流れの中で寺内に声がかかった。このころ、巨人は岡本をスタメンで起用し、2打席を終えたところで交代させていた。岡本に経験を積ませ、試合の終盤以降はルーキーにストレスをかけずにベテランで勝負していくという戦術をとっていたのだ。

 試合は2-1の巨人リードで進み、逃げ切りを図ったが、9回表1死三塁から関本賢太郎の右翼適時打を浴び、同点に追いつかれてしまった。

 よくない流れではあったが、その裏、巨人はサヨナラのチャンスをつかむ。1死二塁の好機を作って寺内の打順を迎えたのだ。守備要員だった寺内だが、この時、井端がベンチに控えているにもかかわらず、原監督は代打を送らなかった。

展開一つで変わる原監督の采配。

 その時の原監督の回想が印象的だった。

「寺内に意外性があるというのと、相手さんは9回の時点で持ち駒を使い切っていた。ここで相手と一緒になって、焦って勝負にでる必要はないのかなと。そう考えて寺内をそのまま行かせましたね」。

 バックアップの充実度を背景に、寺内で勝負に行ったわけだ。

 結果は寺内が阪神のクローザー・呉昇桓のスライダーをすくって、サヨナラ適時打。寺内に言わせれば「僕は途中から出て代打を送られるケースがそんなに多くない」という想定で打席に入ったというから、抜擢した方もされた方も、心の準備は完璧だった。

 このように、原監督は展開一つで選手の起用を変える。アウト一つ、ランナー一つ、点差一つ。勝っているか、負けているか。相手投手はどうか。

 それでも途中出場の選手たちは、常に高いパフォーマンスを発揮している。これは起用する側とされる側の意思の疎通がよほど図れているのだろう。

【次ページ】 “控え”の意識ではない控え選手たち。

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