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シカゴの英雄、デリック・ローズ。
ガラスの貴公子から仮面の騎士へ?
posted2015/10/06 11:00
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph by
NBAE via Getty Images
今回注目する選手は、シカゴ・ブルズのデリック・ローズ。
身長191cm、86kg。シカゴに生まれ育ち、高校、大学時代にバスケで輝かしい成績を残し、2008年NBAドラフト全体1位指名でブルズに入団しました。
マイケル・ジョーダンの引退以来低迷していたブルズが、1.7%の確率から奇跡的に1位指名権を当て、地元出身のローズを獲得したのです。彼はシカゴ復権への全ての期待を背負う存在になりました。
「ジョーダン王国を継ぐ若き王子」として。
'08~'11年の3年間はドラフト1位の実力を遺憾なく発揮し、'09年に新人王、'10年オールスター選出及びトルコでの世界選手権優勝、'11年には史上最年少で年間MVPにも輝き、球界を代表する地位は不動のものとなるまで上り詰めました。
また、スター選手には珍しく控えめでチーム思いの性格がファンの共感を呼び、人気も一気に加速しました。かつて大学時代の監督が、1年生のローズを中心にしたチーム作りを決め、彼に得点をあげる役割を求めたときのこと。ローズはまず周りのチームメイトに、「自分がシュートの大多数を打ってもいいか?」と聞き回ったというエピソードがあるくらい、謙虚だったのです。
シカゴファンにとって彼は、待望の“マイケル・ジョーダンが作り上げた王国を引き継ぐ若き王子”でした。
ベテラン選手を越える、負傷欠場試合の多さ。
しかし飛ぶ鳥を落とす勢いで大活躍した最初の4シーズンとは対照的に、MVPをとった'11年以降彼は度重なる怪我に見舞われ、街の期待値とは裏腹に思うような活躍が出来なくなっていきました。
左膝前十字靭帯損傷、二度にわたる右膝半月板損傷、股関節痛と続く怪我にメディアもファンも驚かされるばかりでした。あまりの怪我の多さに、メディアが負傷歴を表や身体を用いた図で示して見せたくらいです。実際過去2シーズンで欠場した試合は100以上になります。大ベテランのティム・ダンカンが18年間で欠場した試合合計数が97であることからも、ローズの怪我の多さがわかります。