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シカゴの英雄、デリック・ローズ。
ガラスの貴公子から仮面の騎士へ?
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byNBAE via Getty Images
posted2015/10/06 11:00
身体能力、技術、真面目な性格など、あらゆる点で万能の天才とも言えるローズだが……。
久しぶりに万全の状態で今季を迎えるはずが……。
ジョーダン以来の救世主と信じて疑わない街のファンは、彼と共に苦しみ、必ずまた羽ばたくことを夢見てはがっかりすることの繰り返し。いつしか若き王子は、一転ガラスの貴公子となっていました。
そんなイメージを払拭すべく迎えた今季の開幕キャンプ。ここ何年かで初めて、万全な状態でオフのトレーニングをして身体を仕上げてきたローズ。正式なお披露目であるメディアデーでも元気な姿を見せ、エース復活をアピールしました。メディアもファンも今年は期待できると盛り上がったその次の日、キャンプ初日の初練習の初プレイで……。ベースラインをドライブして、ゴール下からボールをキックアウトパスしたプレイで、ビッグマンの肘を顔面に受け眼窩骨折。
チームメイトはもちろん、僕らメディアもこのニュースに只々呆然。地元メディアもファンも皆、“Not again……(もう勘弁してくれ……)”といった心境だったに違いありません。チームは細かい詳細や誰と接触したかは発表しませんでしたが、練習後の囲み取材でタージ・ギブソンが「自分の肘が当たったかも」と漏らしていました。
今回は自身の怪我というよりは接触による事故に近いですし、さすがに顔の骨までは鍛えられませんから、ローズを責めることはできません。しかしあまりにも不運過ぎます。
現地取材でつかんだ「フェイスマスク」の情報!
開幕前からエース欠場で、ブルズは今年期待できないと思われましたが、眼窩骨折の手術は無事成功し、当初3カ月は欠場と言われた診断も2~3週間とチームが発表。2日目の練習後の囲み取材で、新ヘッドコーチのフレッド・ホイバーグは、「開幕に間に合うことを願っている」と前向きな発言をしました。その後WOWOWの現地取材中だった僕には「最初はフェイスマスクを付けてのプレイが予想される」とも教えてくれました。
そこで思いついたことがあります。近年、顔の骨折をした選手は完治する前に透明のフェイスマスクを付けて早めに復帰する姿が多く見られます。
ラッセル・ウェストブルック、コービー・ブライアント、レブロン・ジェイムス、クリス・ポール、カイリー・アービング、ちょっと古い選手だとトレーシー・マグレイディ、リップ・ハミルトン、ビル・レインビア。そして記憶に残るフェイスマスクを付けた選手の全員が、かなり活躍しています。優勝している選手の比率も何気に高い(もちろん主役級だからこそ完治を待たずにマスクをして復帰するのですが)。