前日にJRA重賞300勝を果たした武だったが……。

　これがストレイトガールにとって国内でのラストラン。次走、選出されれば昨年3着に惜敗した香港スプリントに向かい、それを最後に引退する予定だという。

　4分の3馬身差の2着は11番人気のサクラゴスペル、3着は9番人気のウキヨノカゼ、4着はミッキーアイル、5着はウリウリ、6着はリッチタペストリー。ハナを切ったハクサンムーンは失速して12着、2番人気のベルカントも馬群に沈み、13着に終わった。

　前日、同じ前田幸治オーナーのアウォーディーで前人未到のJRA重賞300勝を達成した武にとって、ベルカントの敗戦は不可解だったようだ。

「この馬が負けるときは、何もないのにあっさり負ける。展開は向いていたし、内に刺さるのも前回と同じぐらいだったのに」

　勝ち馬が、「切れ味」といういい意味での牝馬らしさを発揮したのに対し、こちらは悪い意味での牝馬らしさを出してしまった。いわゆる「力負け」ではないので、また走ってくるだろう。

　結局、1番人気から3番人気までが牝馬で、出走した6頭の成績は、1、3、5、7、11、13着だから、強さを見せたと言っていい。

海の向こうの凱旋門賞では「神騎乗」が！

　同じ日の日本時間午後10時55分に発走した第94回凱旋門賞は、5歳牝馬トレヴによる史上初の3連覇が期待されたが、4着。勝ったのは、英国ダービー馬ゴールデンホーン（牡3歳、父ケープクロス、英国ジョン・ゴスデン厩舎）だった。

　鞍上は、これが最多タイの凱旋門賞4勝目となったランフランコ・デットーリ。序盤、1頭だけ馬群から離れたところを進み、そのまま行き切ってハナに立つかと思われたところで内に誘導し、トレヴ陣営のペースメーカーのシャハーの後ろの狭いところにおさめ、行きたがるのをなだめながらレースを進めた。テレビのゲスト解説者として出演していた武が「神騎乗」と讃えた手綱さばきで、2着のフリントシャー以下の追撃を封じ込めた。

　舞台であるロンシャン競馬場は、今年の開催終了後、改修工事が施される。そのために、来年の凱旋門賞はシャンティー競馬場で行われ、再来年から新装なったロンシャンで開催される予定だ。

　日本でも馬券が買えるようになるタイミングに合わせ、「この馬なら……」と思える有力な日本馬に、またぜひ出てもらいたいと思う。