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英国の“降着取消”に見る日本の未熟な審判体制。~JRAの人事異動で裁決委員が決まるという現実~
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byGetty Images
posted2015/10/16 09:00
レース直後のシンプルヴァース。馬主はカタール王族のシェイク・ファハド殿下(写真右)。
今年の英セントレジャーS(9月12日、ドンカスター競馬場、芝1マイル6ハロン132ヤード、GI)での出来事。1着入線後に進路妨害で2着降着とされていたシンプルヴァース(牝3歳、父デュークオブマーマレード、R・ベケット厩舎)が、同馬陣営からの不服申立てが実り、返り咲き優勝が確定したというニュースが伝わってきた。セントレジャーSは、日本が1938年に菊花賞を創設した際にモデルとした由緒あるレース。今年が239回目の開催と聞けば、圧倒的な伝統の差を感じてしまう。
そこで起きた揉め事を英国競馬統括機構が11日間という時間をかけて審議し、「2度の接触はあったが、入線順位に影響を与えたとは言えない」という判断を下したのだ。これにより2位入線(アタマ差)のボンダイビーチの繰り上がり優勝が取り消され、23年ぶりとなる牝馬の優勝が確定した。英国のクラシックレースで不服申立てによって降着が覆されたのは今回が初めてのケースだという。