プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア監督解任予想が今季も熾烈。
モウリーニョ参戦に、本命はあの男。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2015/09/19 10:30
昨季プレミアを制し、今季も優勝候補だったチェルシーのモウリーニョが一転して解任候補に……。
まさかの候補入りしたモウリーニョ。
そして、5節後のプレミアで解任レースのトップ集団に加わったもう1名は、そのクロップでさえ足下にも及ばない実積を誇るジョゼ・モウリーニョだった。
エバートンに敗れ、チェルシーは早くも今季3敗目を喫した。思えば前回政権で、モウリーニョとチェルシーとの「青い絆」が切れたのは、国内での調子が芳しくなかった2007年9月のCL初戦後。今季のプレミアで2連敗となったエバートン戦から中3日、9月16日のCLグループG1節前には『サン』紙が「デジャブ」ならぬ“デジャ・ブルー”の見出しを打つなど、モウリーニョ解任の可能性が指摘された。
プレミアでの低調以外にも、2度目の終焉を思わせる要素はあった。指揮官の思い通りに進まなかった夏の補強、オーナーの意向に沿った攻撃強化に伴う守備の弱体化、その守備の要であるはずのジョン・テリーに対する信頼度低下なども8年前との共通点だ。最大の問題である低調ぶりは、開幕5戦で勝ち点10ポイントだった当時を大きく下回る4ポイントという状態でもある。
現時点では6倍前後だが……。
それでも、さすがに相手がモウリーニョだけに、各ブックメイカーが6倍前後のオッズをつけても、解雇秒読みで世論が一致しているわけではない。
「ジョゼなら必ず盛り返す」と言っていたのは、『テレグラフ』紙にコラムを持つ元プレミア監督のハリー・レドナップ。メディアでは、序盤戦の躓きでリーグ優勝が難しくなればCLへの注力が可能になるとして、「モウリーニョのチェルシー」としての欧州初制覇を予想する声もあった。
実際、マッカビ・テルアビブとのCL初戦では順当に勝ちを収めている(4-0)。前半早々のPKをエデン・アザールが吹かした時点では嫌な空気も漂った。珍しくPKに失敗したアザールのみならず、立ち上がりから声を上げて素早い攻守の切り替えを指示しては水を口に含むモウリーニョも、いつになくナーバスに見えた。
ウィリアンが決めた先制点は、当人はクロスのつもりだったFKがゴールマウスに吸い込まれた幸運なゴール。30分過ぎの相手FKからノーマークで打たれたヘディングがバーの上を越えずに同点弾となっていれば、テリーをスタメンから外した采配が疑問視されていたかもしれない。しかし最終的には、ジエゴ・コスタとセスク・ファブレガスの計2ゴール1アシストを含む大勝だった。