プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア監督解任予想が今季も熾烈。
モウリーニョ参戦に、本命はあの男。
posted2015/09/19 10:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
ここイングランドでは、政治から芸能まで幅広い分野がベッティング(賭け)の対象となる。
言うまでもなく、サッカーは最も人気の高いジャンルの1つ。街中やネット上のブックメイカー(賭け屋)は、優勝を懸けたタイトル・レースや、残留を懸けたサバイバル・レースの他に、監督の首が対象の“サック(解雇)・レース”の予想にも余念がない。
監督陣にとっては有力視されたくない競争だが、夏の移籍市場も閉幕した9月のプレミアリーグでは、代表ウィーク明けの5節で3名が有り難くない注目を浴びた。
1人は、同節最終戦となった14日のウェストハム戦(0-2)で最下位に落ちたニューカッスルのスティーブ・マクラーレン新監督。得点数差による最下位で、同じ「5戦0勝」組のチームには得失点差も「-5」で並んだサンダーランドもいる。地元イングランド北東部のこのライバルを率いるディック・アドフォカート監督の解任オッズは3倍。8倍のマクラーレンの方が解雇の確率が低いと見られていることになる。
しかし、名将としても名高いアドフォカートは昨季途中から指揮を執り、残留を実現してクラブとファンに続投を乞われ、引退を翻意したという立場にある。掛け率3倍という予想も、厳密に言えば解任ではなく辞任の可能性に対するものだ。
代表の暗黒時代に監督だったマクラーレン。
一方のマクラーレンはというと、こちらは今夏の就任時点からファンに不評。もう8年前のことだが、「史上最低」とまで言われたイングランド代表監督時代の印象が強いのだろう。クロアチア戦で、雨振るウェンブリー・スタジアムのベンチ前で傘をさし、雨に打たれながら選手を鼓舞した敵将スラベン・ビリッチとは対照的に、成す術もなく母国代表の敗戦を見つめるだけだった無力な姿は、日本人の筆者ですら忘れ難い。
先のウェストハム戦は、そのビリッチが相手監督だった。つまり、監督としての雪辱戦。しかし、ここでも力なく敗れたのだからイメージは最悪だ。マクラーレンは、敗戦後の説得力を欠く発言で更に印象を悪くした感もある。「言い訳はしたくない」と切り出しておきながら、「試合前のウォームアップが不十分だった」として、渋滞で会場入りが遅れた不運に触れている。後半に入っても切れ味を欠いていた攻撃からすれば、ニューカッスルはハーフタイム中にもウォームアップが必要だ。