プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ルーニーが“偉人”を抜く代表50点。
今季はFW専念で、クラブでも250点へ。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2015/09/12 10:40
イングランド代表では最年少得点記録も持つウェイン・ルーニー。オールド・トラッフォードにボビー・チャールトンらとともに銅像が建てられる日も近いか!?
記録を更新されたチャールトンも祝福。
無理もないことだ。代表での初ゴールは12年前のEURO2004予選中。以来、若手の頃は「至宝」、成長後は「希少なワールドクラス」と呼ばれて得点を期待され続けてきたのが「イングランドのルーニー」なのだ。記録を更新されたチャールトンも言っている。
「歴代最高得点の記録を失った淋しさは隠せないが、新たな記録保持者が我がイングランドとマンチェスター・ユナイテッドでキャプテンを務めるウェインであることに大きな喜びを覚えている。今後も代表とクラブでゴールを重ねてくれることだろう」
マンUでも「偉人」の顔を持つチャールトンらしい祝福の言葉だが、問題は「今後のゴール」だ。代表でも、国際大会本選では冴えないパフォーマンスが続いていることから来夏のEURO本番に期待が掛かるが、今季マンUでの得点は火急の課題となっている。
マンUでは今季FW専任だが……。
高い万能性から昨季はMF起用も増えたルーニーだが、今季はセンターFW専任が前提。本人の希望にチーム事情が重なった結果の変化だ。
チームからはロビン・ファンペルシ(フェネルバフチェ)、ラダメル・ファルカオ(チェルシー)、ハビエル・エルナンデス(レバークーゼン)が抜け、ルイス・ファンハール監督がFW起用を示唆していたアドナン・ヤヌザイも8月末にレンタルで放出された(ドルトムント)。
モナコからアントニー・マルシャルを獲得してはいるが、只でさえ「史上最高値のティーンエイジャー」と騒がれている19歳に過度のプレッシャーは禁物。頼るべきプレミアリーグ実績を持つストライカーはルーニーしかいない。
ところが、そのエースがリーグ開幕4戦でノーゴールと振るわず、チームは2勝1敗1引分けと開幕ダッシュに失敗している。特に4節スウォンジー戦(1-2)後には、その4日前のCL最終予選ブルージュ戦(4-0)でのハットトリックも復調のきっかけにならなかったことから、巷で「マンUのルーニー」にストライカー限界説が流れた。
メディアでは、余計なタッチで得点機を逃したスウォンジー戦でのシーンが「自信喪失の証拠」と判断された。だが、ゴール前でのルーニーの躊躇は開幕節トッテナム戦(1-0)から確認されている。