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十分な伸びしろ感じたサニブラウン。
ボルトとの勝負は「来年に!」と明言。
posted2015/08/27 12:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
収穫の多い2日間だった。
サニブラウン・アブデル・ハキームは、世界選手権の200mで、期待に応える、いや上回ると言ってもよいパフォーマンスを見せた。
8月25日、その日の走りは衝撃だった。サニブラウンが登場したのは予選の第4組、いちばん外、9レーン。3レーンにはジャスティン・ガトリン(アメリカ)がいる。
サニブラウンは、得意とは言えないスタートに成功すると、その勢いに乗り加速する。直線に入っても衰えることなく走りきり、タイムは20秒35、ガトリンに次ぐ2位で準決勝進出を決めた。
迎えた26日の準決勝は第2組、再びガトリンと同組。予選と同じ9レーンのサニブラウンは、スタートすると、外から懸命にガトリンらを追った。
ただ、直線に入っての走りには、予選のような伸びはなかった。
「一本走った疲労感がいつもとは違うので、今日はきつかったです。後半、バラバラになってしまいました」
結果は20秒47の5位。準決勝での敗退となった。
世界陸上史上最年少出場での堂々の走り。
決勝進出はならなかったが、あらためてこの2日間を振り返れば、伝わってくるのはサニブラウンの与えたインパクトの大きさだ。
世界選手権は初めての出場。いや、シニアの国際大会に出ること自体が初めてである。しかも、この種目では世界選手権史上最年少となる16歳5カ月での出場だ。
日本代表選出が決まって以来、多くの注目を集めてきた。これまでにない大きな関心が寄せられる立場となった。高校2年生にして、環境は激変した。
そうした中で迎えた大舞台での1本目となる予選、プレッシャーを感じても不思議はない。力を出し切れないことも、多々ある。なのに、堂々の走りで自己ベストまで0.01秒の好タイムをマークしたのだ。臆することなく走り抜けた。
「ちょっと緊張しました。でも、ふつうの走りができてよかったです」
舞い上がる様子もない、いつもどおりの姿が、その言葉のとおりであることを示していた。