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出場試合ゼロの津商“レギュラー”。
甲子園で勝つための仕事は無限に。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2015/08/12 09:00
甲子園の初戦を勝って、試合終了後に校歌斉唱する津商の全選手。部員ひとりが欠けても勝てない厳しい戦いは続く……。
甲子園では「仕事」は無限にあるのだ!
2人ともまだ2年生だ。上嶋が言う。
「もちろん、来年は試合に出たいです。でも、今年はランナーコーチを極めると決めたので。先生(監督)にも、おまえらは他のやつが持ってないものを持っているので、絶対にベンチに入れるって言われてました」
2人は実に生き生きとコーチャーを務め、また、嬉々として自分たちの役割について語った。そこには自分たちは控えなのだという遠慮は一切、感じられなかった。試合に出場せずとも、求めれば自分を生かす「仕事」は無限にあるのだ。
公立高校の津商には、地元の選手たちだけしかいない。そのため特別目を引くような選手がいるわけではないが、2人の様子を見ていて、このチームの強さの一端が理解できた。