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新加盟のレノファ山口がJ3独走中!
得点上位を独占の超攻撃スタイル。
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/08/15 10:40
ここまで21ゴールを決め、J3レノファ山口で得点ランキングトップに立つ岸田和人。山口以外の選手のトップが8得点であることを考えると、その独走ぶりが際立つ。
「グループでも個人でも、プレーの質が違う」
では、なぜ山口はこれほどの高い得点力を実現できているのか。その最大の要因は、連動性の高いコンビネーションにあるだろう。
4-2-3-1がベースの山口は、1トップの岸田の後ろに右から鳥養、福満、島屋が並び、「ワンツー」や「3人目の飛び出し」といった連係で前線の選手が次々とゴールへ迫る。鳥養が「ひとりの選手だけが(ゴールを)取り続けるのではなく、いろんな選手がゴールの近くに入っていくのがうちの特徴」と語るように、攻撃の厚みこそが山口の武器だ。
とはいえ、山口は決して特別なことをやっているわけではない。鳥養が続ける。
「選手それぞれがどう動くか、イメージを共有できている。ひとりが動いたら、それに連動していくことを意識している」
誰かが動いてスペースが空いたら、他の誰かがそこへ走り込む。言わば、当たり前のことをしつこく、それでいて丁寧に繰り返しているだけなのである。対戦相手から聞こえてくるのもこんな声だ。
「山口の選手はグループで連動してプレッシャーを外せる。だからプレッシャーを受けてもミスをしない。グループでも個人でも、基本的なプレーの質が違うのではないかと思う」(辛島啓珠・相模原監督)
元J1やJ2の選手ではなく、JFL上がりの選手が多い。
しかも、ずば抜けた得点力を誇るサッカーを、例えば突出した力を持つ外国人FWに頼って実現しているわけではなく、ほとんど無名の選手たちだけで実践していることもまた、山口の魅力だと言っていい。
先に挙げた得点ランク上位者を見ても、いかに彼らが無名選手の集団であるかが分かる。恐らくよほどのサッカー通でもなければ、そのなかに見覚えのある名前はなかったはずだ。
岸田、島屋、鳥養はいずれも昨季も山口に所属しており、JFLでプレーしていた選手。福満は今季新加入だが、前所属はJFLのヴェルスパ大分。つまり、快進撃を続ける山口の中軸は、JFLで鍛えられた選手が担っているのである。
J3には、かつてJ1やJ2でプレーした経験を持つ選手も少なくない。ところが、山口にはそうした選手がほとんどいない。つまり、上から降りてきた選手は限られ、下からの叩き上げの選手が大多数を占める。そんな選手たちが圧倒的な攻撃力で相手をねじ伏せているのだから痛快だ。