本塁打0本で18点を奪った積極果敢な走塁。

　さらに、有村の積極的な打撃が多くの面で作用した。例えば、走塁面。

　3回の2得点の場面では、2死二、三塁から4番の綿屋樹が左翼前適時打を放った。二塁走者は微妙なタイミングだったが、ランナーコーチャーがぐるぐると腕を回すと2人が生還した。

　10得点した5回でも、2死一、二塁から4番・綿屋が左中間を破る適時打を放つと、一走の室屋太郎も生還。さらに、続く5番・築地瑠偉の中前安打で二走・綿屋が生還。板越夕桂が四球で歩いた後の2死一、二塁では、7番・最上敦也が左中間へ適時打を放って2者が生還した。

　8回には、無死一塁から柴田浩輔が左翼二塁打を放って一塁から松本大成がホームインしている。

　チームの走塁が上手いかどうかは、二塁に走者がいる時の単打、一塁に走者がいるケースの長打で生還できるかがカギになる。鹿実が、本塁打0本ながら19安打で18得点も奪えたのは、積極果敢な走塁があってのものだ。

「積極的に行ってアウトになった方がいいと思って」

　三塁コーチャー・森口裕太のコーチングも積極的で見事なものだった。

　主将も務める森口は、試合をこう振り返る。

「有村の1回の一打で一気に盛り上がりましたね。球場がどっと沸いたので、この空気を味方につけることができれば試合を優位に進められるかもしれない、と思いました。走者を止めて得点が取れないなら、積極的に行ってアウトになった方がいいと思って、腕を回すようにしました。もちろん、相手の体勢とかを見て行けると思ったから回したのもあるんですけど、貪欲に次の1点を取れたと思う」

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