球道雑記BACK NUMBER
ロッテの清田育宏が輝く時……。
「史上最大の下克上」が再来する?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/07/22 10:45
オールスター第1戦の3回表、全パが1死一、二塁の場面で見事に3点本塁打を放った清田。
日本一守備が難しいマリンフィールドで好守を持続。
その効果は守備の面でも見られる。今季ここまで失策0、守備率100%で味方投手をさらりと助けている。
「僕はピッチャーが抑えたと思った球を捕れればいいかなって思っています。普通のプレイを普通にやれればいいかなって。なのであんまり派手なプレイは気にしないで、普通のフライを普通に捕ってアウトにできればいいかな」
自身の守備同様に派手さもなく、淡々と話す清田だが、千葉ロッテの本拠地QVCマリンフィールドは強風で知られ、守るのが日本一難しいとされる球場である。
「(マリンの風は)日によって違います。吹き方によってなんですけど、旗がホーム側に吹いているときは、グラウンド内はセンター方向に吹いていると考えたり。そうした場合は高く上がったフライは戻りますが、ライナーは伸びてくるんです」
そんな清田に、外野守備走塁コーチの清水雅治がアドバイスをしてくれたという。
「僕はボールを捕りに行くのも、投げるのも全力でやってしまいがちでして。ボールを捕りに行くまでは全力で、捕る瞬間に少し抜いて捕って、そこから自分の形に持っていければ一番いいのかなって思ってやっています。以前はそれが出来なかったので、清水さんに全力でボールを捕りに行くのではなくて8割で捕って、8割で投げろと教わったんです。そうすることで、守備で小さなミスや無駄がなくなるんじゃないかって」
5年周期のゴールデンイヤーは訪れるのか?
プロ6年目にして過去最高の結果と成長を続けている清田。7月17日に行われたマツダオールスターゲーム2015の第1戦ではパ・リーグの2番ライトでスタメン出場し、セ・リーグ先発・菅野智之(巨人)の真ん中低めのスライダーを左中間スタンドに運ぶなど3打点を挙げて敢闘選手賞を受賞した。しかし、ロッテは前半戦終了間際の7連敗が響き、首位と14.5ゲーム、CS出場圏の3位まで5.5ゲーム差まで広がり、5年周期でやってくるといわれた“ゴールデンイヤー”を話題にするファンの数も減った。
2005年はレギュラーシーズン2位からの日本一、2010年はレギュラーシーズン3位からCSを勝ち抜く「史上最大の下剋上」。それを超えるミラクルは本当に起こるのか。
清田は言った。
「自分の成績も大事ですけど、チームの順位も上がってこないとあまり喜べない。(後半戦は)チームの勝利を一番大事に考え、勝つために自分がどれだけ役にたてるか。それでチームの順位を一つずつ上げていきたいです」
まだ希望の灯は消えていない――気遣いの男は、QVCマリンに集まるファンに向けて力強くそうメッセージを送った。