松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹が自信を取り戻す方法は?
ミケルソンもウッズも“祈る”全英OP。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byMaki Uchida
posted2015/07/17 11:20
ツアー成績を見ても、ティーショットやアプローチに比べてパットの数字は上位とは差がある松山英樹。今大会もそこでどれだけ我慢できるかが勝負になりそうだ。
初ボギーにも、口をへの字に結び、こらえていた。
だが、スピースもジョンソンもスコアを伸ばし、首位グループへ入っていった一方で、松山のバーディーパットはなかなか決まらず、折り返し後の10番では、ついにボギー。それでも彼は口をへの字に結び、こらえていた。
ここからが我慢比べ。ここからが本当の勝負。心の中でそうつぶやきながら松山のプレーを見守った。しかし14番、15番は2連続ボギー。結局、前半の3バーディーを後半の3ボギーで打ち消してしまう形になり、イーブンパー、72、64位で初日を終えた。
パターについて「今は自信がないんで……」。
日本メディアの前にやってきた松山は悔しさと落胆が入り混じる複雑な表情をしていた。
前日、「今が一番いい」と言い切ったショットは、その言葉通り素晴らしい成果を発揮した。フェアウェイを外したのは、わずか1回。その1回は、ポットバンカーにつかまってボギーを喫した14番だった。だが、「入れてはいけないところに入れたミス」でボギーになったのは、松山も納得のいくところなのだろう。
それよりも彼の悔しさを募らせていたものは、短いパットが入らなかった、決められなかったという事実だった。
「途中まではいい感じで打てていたけど、入らなくなってからは自信がなくなって、最後までうまくできなかった。最後の1メートルぐらいでラインが読めない……」
気持ちを切り替えられそうかと尋ねられても、答える言葉に覇気がない。
「自信があればそれも楽だけど、今は自信がないんで……」
後半に喫した3ボギーのうちの1つは、前述の通りポットバンカーにつかまった14番。明らかにティショットのミスが招いたボギーだった。
だが、10番はフェアウェイから打った第2打がグリーンをヒット後に転がって戻り、グリーン手前からピン2メートルへ寄せた後、パーパットを外してボギーを叩いた。もしもバーディーパットが決めやすいラインになるように第2打を打てていたら、たとえバーディーパットを沈められなかったとしても、パーに留められたかもしれない。15番もグリーンの第2打はピンに付けられず、グリーン右手前からピン奥へ寄せた上で短いパーパットを外したのだが、第2打次第では結果は違っていたのではないか。
パットばかりを責めるのではなく、そんなふうに「責任」を少し他のものに転嫁して気を楽にしてみてはどうか。そう思って「第2打のせいという具合には考えられない?」と畳み掛けてみたのだが、悔しさを噛み締める松山は、きっぱり「考えられません」の一言。
その短い一言の即答ぶりが、松山の悔しさと苛立ちと自信のなさを象徴していた。