セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
破産後に首位ユベントス撃破も……。
消滅したパルマFC、その後。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2015/07/15 10:40
3月に破産を迎えたパルマFCだが、4月11日にリーグ首位ユベントスを破り意地を見せた。選手だけでなくイタリア中が沸いた。
選手の契約はすべて無効、フリーに。
選手たちの契約はすべてが無効となり、彼らは皆フリーの身となった。MFマウリはミランへ移籍し、浪人中のFWカッサーノは夏の海でのんびりオファーを待っている。
前会長マネンティは釈放されたものの、4月から自宅監禁の身だ。検察による刑事起訴を受け、審理が始まっているが、黙秘を決め込んでいる。
元GDレオナルディは、パルマの選手たちから「恥知らず」と非難されながらセリエBのクラブへ再就職しようとしたが、ギラルディ元会長とともに来月までサッカー界での職務停止処分が下された。
もし、来年のEUROまでに、巨額詐欺事件の全容が解明され、関係者への処分が確定できれば、それはイタリア法曹界にとっての一大快挙だろう。現実には、ロシアW杯が始まる頃、ひっそりと処分が進められるような気がする。
パルマ、正真正銘最後の試合。
6月28日、トスカーナの小さな村で、U-15年代のイタリア全国リーグの決勝戦が行われた。インテルとともにファイナルに残ったのは、この世から消滅したはずのパルマだった。
ジャッロブル(黄・青)のユニフォームをまとった少年たちは、2点ビハインドの劣勢から一度は追いつき、延長戦の末に3-4で敗れた。それが、パルマFCの名を冠したチームの、正真正銘最後の試合だった。
敗れたパルマの選手の中に、バリッラという名のDFがいた。父親グイドは、試合をスタンドで見届けた翌日、信頼できる実業家7人とともに「Parma Calcio 1913」という新会社を設立した。
グイド・バリッラは、パスタやオリーブオイルの世界的ブランドで知られる食品大手「Barilla」グループの総帥であり、パルマの町からサッカーが絶えることを望まなかった。「パルマ・カルチョ1913」は、今季、4部にあたるセリエD、アマリーグから再出発を目指す。