eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
「ゲームのプロ」ってどんな生活?
練習は10時間、食事、試合方法は。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph byNegi Yagi
posted2015/06/26 10:40
2015年前期シーズンで日本一に輝き、国際大会にも出場した『DetonatioN FocusMe』。
10時間、彼らはPCの前からほとんど離れなかった。
【試合】
試合に入ると、隣室にいても聞こえるほどの大きな声で連絡、指示、次の作戦の提案が飛び交う。この日の試合は40分を超える熱戦で、ゲームの性質上サッカーのように試合が止まる時間は全くないのだが、選手たちの集中力が途切れる様子はなかった。
【反省】
残念ながらこの日の試合でDFMは勝利を手にすることはできず、手痛い敗戦を喫した。
試合終了直後から、選手たちはコーチやマネージャーとともに反省点を挙げて敗因を分析していた。eスポーツという若い競技では、20歳前後の選手が多い。DFMも18歳から24歳のチームだが、その選手たちが敗戦直後に次のための課題を洗い出し、反省していたのが印象的だった。ただその表情はプロ意識というよりも、トップクラスの「ゲーマー」特有の、強烈な負けず嫌いから来ているようにも見えた。
【試合後】
一通り反省を終えると、選手たちはシームレスに再び個々の時間の使い方に戻っていった。食事に出かける人、反省点に納得がいかない表情を見せる人、練習を再開する人――。
結局、この日は10時間近くチームと一緒にいたことになるが、そのほとんどの時間を彼らはPCに向き合って過ごしていた。多くの日で深夜2時~3時頃まで個人・チームでの練習が続くといい、本当にゲームだけに集中して彼らが生活していることが実感できた。
そして実は、試合に敗れた後の振る舞いが、最も「ああ、彼らはプロなのだな」と感じた瞬間だった。
日々の勝利と敗北に一喜一憂せず、成長のための反省をしたら冷静に次へ向けて気持ちを切り替える。おそらく彼らはいつもと同じようにそうしただけなのだろう。しかし、大人でもなかなかできない精神のコントロールを見て、彼らがなぜ日本初の完全給与制プロゲーミングチームに所属しているのか、という理由の一端が見えたような気がした。