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泥沼12連敗DeNAに救世主現る!?
大谷翔平が驚いた強心臓・砂田毅樹。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/06/22 11:30
今年の6月までは、育成選手の三桁背番号「111」をつけていた砂田毅樹。育成から2年で一軍登録、その勢いはどこまでいくのか。
6回途中、ランナーを溜めての降板に残った悔い。
相手の絶対エースを感嘆させるほど落ち着いた投球。砂田も「5回まで勝ちでこれたのは少し自信になった」と、初登板で手応えを掴んではいた。
試合で唯一、砂田の若さや経験不足が表れたとすれば、1-0で迎えた6回になるだろう。
1死後に4番の中田翔、5番の岡大海に連続安打を許したところで降板。継投した平田真吾が矢野謙次に逆転3ランを打たれ、試合もそのまま1-3で敗れた。
砂田は5回まで無失点の好投以上に、6回途中で降板したことを悔やんだ。
「自分としては6回も気持ち的には余裕があったんですけど、見えないものが出たというか。二軍ではそんなことなかったんですけど、疲れがああいった形に出てしまったんだと思います。自分に勝ちがつかなかったことより、ピンチを作ったまま平田さんにマウンドを託してしまったことが申し訳なかったというか。6回のピッチングは反省ですね」
砂田は中畑監督にとっての“秘蔵っ子”。
プロ初登板の自己採点を報道陣から聞かれると、砂田は6回の不甲斐なさが脳裏をよぎったのだろう。少し考えてから「60点くらいですかね」と控えめに答えた。
だが、首脳陣の評価はおそらくそれ以上だったはずだ。
6回のピンチで砂田をマウンドから降ろしたことが何よりの答えである。
中畑監督が意図を説明する。
「初登板でよく投げてくれたよね。(降板のタイミングは)状況を見て、とは考えていたけど、できるだけ彼にとっていい状態で代えてあげたかった。あの場面で降ろしたということは、戦力として考えているということだからね」
連打を浴びて敗戦投手となると、プロ初登板の投手でなくとも後味は悪い。同じ逆転される結果になったとしても、自分が失点する前にマウンドを降りたほうが、次の登板へ向けて前向きに気持ちを切り替えられるだろう。指揮官の狙いはそこにあったはずだ。
そもそも、砂田は中畑監督の“秘蔵っ子”でもあるのだ。